noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。
みなさんこんにちはKeiです。
救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。
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ソーシャルワーク関連のブログも発信中です。
本日は、『自己覚知は副産物』というテーマを深掘りします。
「自己覚知を身につけよう」という違和感
ソーシャルワーカーにおける大切な概念のひとつが「自己覚知」です。
事あるごとに、研修や先輩から、口を揃えて言われます。
- 「自分の価値観に気づきましょう」
- 「バイアス(先入観)を自覚しましょう」
- 「自分の感情の動きを捉えましょう」
- 「自分が何に反応しやすいのかを知りましょう」
もちろんその場では「確かに大事だよな〜」と頷きはするものの、翌日から何かが大きく変わるわけではありません。
自己覚知が大事なのは、私も常々理解しているつもりです。
一方で自己覚知は、筋肉のように鍛えるものではなく、そもそも「知っているかどうか」の問題だと考えています。
「もっと客観的にならなきゃ」と念じたところで、客観性は一ミリも増えません。自己覚知の正体は、根性論の外側にあるからです。
自己覚知とは、自分を「位置づける」作業である
実習生に自己覚知を教える際、「自分自身の価値観・感情・先入観が、援助関係にどう影響するかを自覚すること」とかっこよく伝えても実習生には伝わりません。
自己覚知はひとことでいうと、「自分の内面のクセに気づくこと」です。
ただ、クセは比べる対象がなければ気づけません。自分の判断を客観視するには、比較対象が要ります。
- あの先輩ソーシャルワーカーなら、この場面でどう動いたか
- 歴史的に、福祉はこの手の問題をどう扱ってきたか
- 別の施設、別の文化圏では、この「当たり前」はどう扱われているか
このように自分以外の視点と照らし合わせて、初めて「自分の思考はこう偏っている」と把握できます。
ひとつの尺度しか持っていない人は、自分の見立てが標準なのか極端なのか、判断する術を持ちません。尺度が増えるに連れて、自分の立ち位置は少しずつ精密になっていきます。
自己覚知の土台には、経験と知識の蓄積が必須になります。これは才能でも性格でもなく、単純に「知っている尺度の数」の問題です。
冷静な判断ができる先輩ソーシャルワーカーを見て、「あの人は生まれつき冷静だ」と判断するのは誤りです。
実際には、その先輩はただ、比較する尺度を人より多く持っているだけです。
尺度を知らない人ほど、極端な見立てをする
尺度を持たない人が自分を客観視できないのは、「自分の視点しか知らない」ためです。比べる対象がなければ、自分の見立てが偏っているのか妥当なのかは、判断のしようがありません。
世界に自分ひとりしかいなければ、自分の身長が高いのか低いのか分からないのと同じです。
経験の浅いソーシャルワーカーほど「この家族は絶対にこうだ」と極端な見立てに寄りがちなのは、ある意味で当然です。
比較する引き出しがまだ少ないからこそ、目の前の一例が「すべて」に見えてしまうのです。
これは、経験の浅さだけの話ではありません。
私が新人ソーシャルワーカーだった頃、療養型病院になかなか患者を受けてもらえず、「なぜこんなに時間がかかるんだ」と苛立った経験がありました。
自分の専門領域である急性期の尺度しか持っていないため、療養型病院側の受け入れの判断基準や医師・看護の配置といった別の尺度が見えていませんでした。
療養型病院の尺度を何も知らないので、「遅い」としか映らなくなります。
相手側の事情を共有してもらうだけで、途端に見立てが精密になるのも、このためです。
「遅い」と思っていた判断の裏に、療養型病院なりの合理性があったと分かります。
#療養型病院にバイトに行っている医師は理解を示してくれる
物差しを、自分に当てる難しさ
尺度を増やせば、自己覚知は自然と育ちます。
ただ、ソーシャルワーカーの自己覚知には、尺度だけでは届かない層がもう一つあります。それは、感情の揺れへの気づきです。
- クライエントに苛立った
- 必要以上に同情した
- 無意識に距離を取った
こうした自分の中の反応は、尺度を知っているだけでは見えてきません。
研修や学会等で得た尺度は、いわば他者をアセスメントするための物差しです。自己覚知は、その物差しを自分自身に当てる作業です。
この物差しは、自分一人ではうまく当てられません。自分の背中を、自分の目で見られないのと同じです。
スーパーバイザーに自分の感情の揺れを言葉にしてもらったり、先輩に面接中の表情や声色を教えてもらったり……
そういった瞬間があって、初めて物差しは自分にも当てはまるようになります。
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ではまた。


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