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【救急認定ソーシャルワーカーが伝授】危機介入アプローチの特徴を事例を用いて解説

MSW

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noteを2023年11月から始めました。ブログでは発信できない医療ソーシャルワーカーのタブーを表面化していこうと考えています。「MSWってこうだけど表ではいえない」を代弁しますのでぜひ読んでみてください

身寄りなし、虐待といった即時介入必須のソーシャルワークが苦手

即座に支援が必要な状況に遭遇すると焦ってしまう

危機介入アプローチを実践活用するコツを教えて!

身寄りなし、虐待、健康保険未加入のように即座に介入しなければならない現場に医療ソーシャルワーカー(以下MSW)はしばしば遭遇します。

Kei
Kei

私はMSWとして高度急性期病院で働いています。社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカー及び救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。

当記事では実践においての危機介入アプローチの活用方法について解説します。

この記事を読めば、いままで慌てて対応していた何気ない実践を危機介入アプローチを紐づけることで、根拠を持ったソーシャルワーク実践に変換できます。

救急医療の現場で幾度となく危機介入アプローチを活用してクライエントやその取り巻く環境へ支援を展開したノウハウや経験を凝縮しましたので、ぜひ最後まで読んでください。

危機介入アプローチは“短期集中的”な働きかけ

危機介入アプローチは、精神保健分野で発達した危機理論をソーシャルワークに導入して体系化されました。

危機理論は「危機を乗り越えることにより、人格の成長が促進される」といった特徴がありますが、危機介入アプローチは人格の成長が目的ではありません。

援助者が危機状況に陥ったクライエントに短期集中的に介入し、以前の状態まで回復するように働きかけることを目的としています。

クライエントが危機状況に陥ったときに用いるアプローチであるため、急性期病院のMSWが用いることが多いです。

Kei
Kei

MSWは、クライエント自身が主体的に対処できるように具体的な方法や道筋を示します。

危機状況は医療ソーシャルワークの実践で例えると以下ようなものが挙げられます。

・急病

・身寄りなし

・虐待

・経済的困窮

・災害

急病や災害の他にも突然の困難やストレスに直面したときに、適切な支援を提供するための方法としても活用されています。

≫ ソーシャルハイリスク患者について

危機介入アプローチの特徴【3つ】

危機介入アプローチの3つの特徴を踏まえながら実践で活用するためのポイントを解説します。

・短期的

・具体的且つ指示的

・早期介入

ソーシャルワークはクライエントが主体である必要があるため、危機介入アプローチは相反するアプローチに思われがちですが、心理学、精神医学の分野でも広く活用されているため、開き直って実践落とし込みましょう。

Kei
Kei

危機からの回復にはついては、クライエントの自由な感情表現、客観的且つ現実的な問題の認識、新たな対処能力の獲得、援助者による情報やサポート提供が欠かせません。

“短期的”なアプローチ

先述したように、危機介入アプローチは短期的である必要があります。

危機介入アプローチは、突発的な混乱状態であるクライエントの対処能力の強化・社会的機能の回復を目的としているため、クライエントが危機状況でない場合は積極的に活用しません。

危機状況に陥っている際、クライエントは絶えず変化する事態に混乱して明確な意思決定ができないことも多いです。

クライエントの自己決定を促すために、MSWは一刻も早く危機状況に陥る以前と同等になるような機能回復に努める必要があります。

Kei
Kei

危機状況が回復した後は「指示的」なアプローチを「支持的」なアプローチへ切り替えていきます。

“具体的”且つ“指示的”

危機状況に陥るクライエントは、感情的な混乱状態により問題解決能力が一時的に低下することが多いです。

危機状況の場合は、平時のような落ち着いた姿勢でクライエントのニーズを見抜くような面接よりも、MSWの知識や技術を活用して指示的且つ具体的に対処するほうが有効です。

指示的且つ具体的な対処はクライエント、MSW双方にとって過大なストレスのかかるアプローチになることも少なくないため、高度なコミニュケーションが求められます。

コミュニケーションについては下記のnoteで詳細に解説しています。

≫ コミュニケーションエラーは9割「過信」

“早期介入”が求められる

経済的困窮や虐待のようなソーシャルハイリスクを伴うクライエントの支援は、時限的であることが多いです。

早期介入する際は、危機状況で表出されている具体的に対応するべき心理的・社会的問題をクライエントがどのように捉えているかを把握する必要があります。

可能な限り早期介入することで危機に陥るリスクを予防することが重要です。

クライエントとの足並みが揃っていない支援はクレームに発展することがあります。クレームについては下記のnoteの人気記事となっています。

≫ 9割が知らないクレーム前に必ず表出されるワード

危機介入アプローチの支援展開【事例】

私の実践で体験して印象的な危機介入アプローチを紹介します。

事例

60代男性(Aさん)、独居で学習塾を約1年前まで経営されていた

元妻がいるがキーパーソンになれない

疎遠だった一人息子がいる

入院前はアパートに居住

預貯金なし

健康保険が資格証明書扱い

急病により緊急入院。

危機介入アプローチを活用したのは「健康保険証資格者証扱い」と「元妻がいるがキーパーソンになれない」点です。

Aさん
Aさん

塾の経営をやめてから保険料を払っていません…

資格証明書は医療費負担が10割負担になってしまうため「資格証明書扱いになっている理由」を尋ねると「塾講師の経営が上手くいかなくなってから保険料を払っていない」とのことでした。

保険料を追納する財力もなければ短期保険にすら加入できない手持ち金(危機状況)であったため、生活保護の申請を試みました。

元妻がキーパーソンになれない理由としては「アルコール癖が悪くて面倒が見切れない」ことが主な理由でした。

元妻
元妻

息子には連絡しないでください…

当時の状況では元妻が引き受けるか息子に依頼するかの2択であったため「元妻がキーパーソンを引き受けないのであれば息子に相談せざるを得ない」状況であることを説明しました。

「息子は数日間に結婚式を挙げたばかりで連絡してほしくない」(危機的状況)とのことで、元妻にキーパーソンを引き受けてもらいました。

数日間隔を空けて実施した面接では、日頃の葛藤や苦悩について涙ぐみながら語る元妻の話をを傾聴して精神的なケアに努めました。

Kei
Kei

生活保護の申請は具体的な手段です。後々廃止することができるため、短期的な支援とも言えます。

早期介入によって経済的問題とキーパーソンの問題を解決しました。

事例から考える危機介入アプローチのコツ【3つ】

救急医療の現場で6年以上働いて多くの失敗を経験したことにより、MSWが実践する上でのコツを解説します。

危機介入アプローチは、突発的に危機的状況に陥ったクライエントへ介入することが多く、十分なラポールが構築できない状況があります。

限られた時間の中でラポールを構築することは簡単ではありませんが、以下の3つを意識することで危機状況を収束に導くことができます。

Kei
Kei

救急認定ソーシャルワーカーを最速で取得した私が伝授します!

アドボカシーを忘れない

危機状況がどのようなことでも、クライエントをリスペクトする姿勢は崩してはいけません。

アドボカシーが可視化できないMSWは、アドボカシーを「もしも自分がクライエントの立場になったら…」に置き換えて実践しましょう。

先述した事例の元妻を例にすれば「アルコール癖の悪くて面倒が見切れない」といいながらも現場に駆け付けてもらえていること自体が奇跡的です。

アドボカシーに対するボーダーラインを可能な限り低くして、クライエントのストレングスを見出すことがソーシャルワークにおいて重要です。

≫ アドボカシーについて具体例を用いて解説

危機状況の「具体的な要因」を可視化する

クライエントが危機状況に陥っている要因を把握することが重要です。

例として、危機状況が「経済的困窮」であれば、何が要因となって経済的困窮に陥ったのかアセスメントする必要があります。

クライエントの生活歴に経済的困窮に至るまでの要因が必ずあります。

要因を把握する時間が短いほど危機状況を回復させる可能性が向上し、問題解決に導くことができます。

Kei
Kei

経験の浅いMSWは生活歴の下流(現在の生活状況)に目が行きがちですが、意外と上流(社会人になってボートレースにハマったなど)に要因があるものです。

MSWのアセスメントについては下記の記事で解説しています。

≫ MSWの効果的なアセスメント技法

「指示的」→「支持的」に立ち回る

危機状況にクライエントが陥ると、意図しない事態によって問題解決能力が低下し、感情的な混乱状態になることが少なくありません。

感情的な混乱状態において指示的な対処は有効な手段です。

MSWが指示的に対処することで、感情的な混乱状態にあるクライエントが「危機状況をどのように対処すればよいのか」といった導線を構築することができます。

ソーシャルワークとは一見相反する表現にみえる「指示的」な対処ですが、危機介入アプローチは“短期的”であるため、危機状況の機能が回復するにつれて本来の「支持的」な支援に変換していきます。

Kei
Kei

「クライエントが危機状況に陥っている短い期間だけ適用する」ことから危機介入アプローチは“短期的”とされています。

「追い出し屋」認定されるMSWは、クライエントに対して「支持的」ではなく「指示的に」にアプローチする傾向があります。

下記の記事で「追い出し屋」にならないMSWについて解説しています。

≫ 「追い出し屋」ならないMSWの交渉術

まとめ

危機介入アプローチでおさえておくべきポイントは以下の4つの「的」です。

短期的

具体的

指示的→支持的

今回は「危機介入アプローチの活用方法」について解説しました。

クライエントの危機状況の解決は非常にやりがいがある一方で、MSW自身に多大なるストレスがかかる実践でもあります。

危機介入アプローチを極力活用したくないMSWは、回復期や慢性期の病院へ転職することがオススメですが求人サイトは利用してはいけません。

以下の記事では「MSWのキャリアプラン」について解説しているので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。

≫ MSW転職完全ガイド

noteではブログでは発信できないソーシャルワーカーの実践について具体的かつ論理的に解説していますので「ソーシャルワーカーの業務を可視化したい」という方は必見になります。

≫ ソーシャルワーカーの専門性を磨く自己研鑽方法

本で勉強するのも有効です。以下の本は一見ソーシャルワークとかけ離れたように感じますが、今回のブログの参考文献として利用しました。

社会福祉士に必要な「ニーズの引き出し方」を学びたいという方は、こちらもぜひご検討ください。

救急患者支援-地域につなぐソーシャルワーク: 救急認定ソーシャルワーカー標準テキスト

医療福祉総合ガイドブック2023年度版

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