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心理社会的アプローチ簡単ガイド【認定医療ソーシャルワーカーが介入技法を解説】

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noteを2023年11月から始めました。医療ソーシャルワーカーの体験談や実践内容を言語化しています。この記事を読んでいるあなたのソーシャルワーク実践のモチベーションを高めるきっかけに、少しでもなれば嬉しいです。

心理社会的アプローチは名前だけ知っている程度で実践に落とし込めていない

ソーシャルワークにどのように落とし込むの?

そもそも「状況の中の人」の解釈がわからない

この記事では「心理社会的アプローチをソーシャルワーク実践に落とし込む方法」を解説します。

私は、救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカー(以下MSW)としている社会福祉士7年目で、毎月5,000PV以上のソーシャルワーク関連のブログX (フォロワー1,400人以上)等を発信しています。

Kei
Kei

社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。

この記事を読めば、心理社会的アプローチの概要が理解できて、今までの実践やこれからの実践と紐づけることができます。

「エビデンスのあるソーシャルワーク実践」にするために、この記事を通して自信を持って「心理社会的アプローチを実践した」と言えるようになれば幸いです。

「心理社会的アプローチの概要よりも介入技法を早く知りたい方」はコチラから↓

≫ 心理社会的アプローチの具体例

心理社会的アプローチの提唱者はホリス

フローレンス・ホリス(Florence Hollis)は、アメリカの社会福祉研究者で1964年に「ケースワーク:心理社会療法」を出版し「状況の中にある人」を中心概念とした心理社会的アプローチを体系化しました。

利用者への受容、共感的理解、再保証などの持続的指示が利用者とのコミュニケーションが重要であるとホリスは強調しました。

Kei
Kei

心理社会的アプローチが体系化された1960年〜1970年代はソーシャルワークに対する批判が多く、様々な理論が乱立しました。

医学モデルが基盤

ソーシャルワークのパイオニアであるリッチモンドが、このアプローチの基礎を築きました。

リッチモンドは、1917年に「Social Diagnosis (社会診断)」を出版し、トールやハミルトンが個人の問題を「診断して、治療する」診断主義アプローチを提唱しました。

診断主義アプローチは、フロイトの影響も受けています。

フロイトが提唱した精神分析理論の「無意識の重要性」や「幼少期の経験が成人期の心理状態に与える影響」等を反映し、個人の内面的な側面を理解するための重要な枠組みが提供されました。

Kei
Kei

リッチモンドの「診断して、治療する」という診断主義アプローチの概念を継承し、フロイトによる精神分析理論を組み入れて、ホリスが体系化したのが心理社会的アプローチです。

「人と環境の相互作用」をわかりやすく言語化

人が表現する心理的要因と、環境が及ぼす社会的要因がお互いに影響し合っている(相互作用)ことを、端的な言葉で「人と環境の相互作用」と言われています。

以下で心理的要因、社会的要因、相互作用について解説します。

人(心理的要因)

人(心理的要因)は、個人の感情、思考、行動、人格などの内面的な側面を重視します。

個人の過去の経験、トラウマ、心理的な発達段階などが含まれます。

人(心理的要因)の理解は「自分自身や周りの環境をどのように認識してリアクションをしているか」を理解するために重要です。

環境(社会的要因)

環境(社会的要因)は、個人が置かれている環境や社会的な側面を重視します。

家族、友人、職場、地域社会、文化、経済状況などが含まれます。

環境(社会的要因)の理解は「個人がどのような社会的ネットワークや資源を持っているか」「社会的な期待や圧力が個人にどのように影響しているか」を評価するために重要です。

相互作用

心理社会的アプローチの本質は、人(心理的要因)と環境(社会的要因)が相互に影響し合う(人と環境の相互作用)ことを重視します。

個人の問題や行動は、内面的な要因と外部環境との相互作用の結果として現れると考えます。

簡単な例で解説します。

クライエント
クライエント

施設の職員さんから言われる悪口がトラウマになって、体調が良くなっても施設に帰りたくないの…(人/心理的要因)

MSW
MSW

「人手不足で職員同士の仲が悪い」で有名な施設だから、利用者への悪口が日常的になっているのかも…(環境/社会的要因)

支援を行う際には、両方の要因を総合的に評価し、介入を行うことが求められます。

クライエントへの身体•精神的ケア(人)と利用している施設の職場(環境)へ総合的に働きかけないと(相互作用)クライエントの問題は解決されないことがわかります。

「状況の中の人」をわかりやすく可視化

ホリスは、人と環境あるいは両者の関係を変容させることを目的とした方法として心理社会的アプローチを提唱しました。

先述した「人と環境の相互作用」を活用してソーシャルワークに落とし込みます。

・心理的要因:個人の病気の原因や症状に関する理論から顕在化している

・社会的要因:個人が置かれている住まいや職場などの「環境」が原因で作り出している

ソーシャルワークが対象としている問題や課題を「心理的要因(人)と社会的要因(環境)が相互作用(互いに影響し合う)している」考え方を「状況の中の人」として全体的な関連性の中で捉えています。

Kei
Kei

心理社会的アプローチを端的にいえば「医学モデルの思考が重要だけど、(小声で)生活モデルの視点も重要だよね」というイメージであり、MSWの現実を物語るようなアプローチです。

心理社会的アプローチの特徴【3つ】

心理社会的アプローチの理解と適用を深めることで、MSWは個人や家族、コミュニティが直面する多様な問題に対処し、持続可能な解決策を提供することができます。

ソーシャルワーク実践に心理社会的アプローチを落とし込む際は、以下の特徴を考慮して実践します。

「個別化」を引き出す

心理社会的アプローチは、個人の問題を心理的要因と社会的要因の両方から理解するため、より全体的な視点を提供します。

クライエントの個別のニーズや背景に基づいて適切な支援を提供するため、バイステックの7原則である「個別化」の原則に応用することができます。

心理社会的アプローチをソーシャルワーク実践に落とし込むことで、MSWにおいて致命的な「先入観」や「偏見」のリスクを軽減することにつながります。

「個別化」を引き出すアセスメントには「雑談力」を身につけることが有効です。下記の記事で詳細に解説しています。

≫ 認定医療ソーシャルワーカーが解説する「雑談力」アセスメント

Kei
Kei

「一人暮らしだからきっとこんな性格なんだろうな〜…」「あの人の境遇的にこう考えるしかないよな…」といった「先入観」や「偏見」は支援を妨げます。

多様な支援に応用できる

システム理論やエコロジカルアプローチは心理社会的アプローチの影響を受けています。

上記のアプローチは、心理社会的アプローチと同様に「人と環境の相互作用」を総合的に活用して問題解決や支援に落とし込むことを目的としています。

複数の理論やアプローチを統合して用いるため、幅広い問題に対応できます。

ソーシャルワーク実践のアプローチを広く学ぶにはスーパービジョンを活用することが有効です。学びたいアプローチに精通したスーパーバイザーへ依頼しましょう。

Kei
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心理社会的アプローチ、システム理論、エコロジカルアプローチは考え方が類似しているため、一度覚えることができれば多くの支援に活用できます。

複雑性があり応用に技術を要する

異なる文化や社会背景を持つクライエントに対しては、その文化的な特性を十分に理解し、多文化的な配慮をすることも求められます。

多様な支援を提供するためには、社会資源の充実や、行政、病院及び地域住民等との強固な連携体制の構築(ネットワーキング)が必要です。

クライエントの心理的要因と社会的要因の両方をを評価し、アプローチするのは高度な技術と時間が必要です。

「健康保険未加入」や「身寄りなし」といったソーシャルハイリスクを伴う際は、心理社会的アプローチよりも、危機介入アプローチを活用することが有効です。

≫ 救急認定ソーシャルワーカーが危機介入アプローチを解説

Kei
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評価に時間を要するアプローチであるため、急性期病院のような時間が有限の環境ではより高度な技術が求められます。

心理社会的アプローチの事例【2つ】

心理社会的アプローチの具体的な応用例を2つ解説します。

ソーシャルワーク実践に落とし込むための参考にしていただければ幸いです。

児童虐待のケース

背景

ある家庭で、10歳の男の子が児童虐待の被害を受けていると報告あり。

男の子は学校での成績が急激に低下し、友人との関係もうまくいかず、しばしば身体的な怪我をしている状態で見つかる。

学校のソーシャルワーカーは、この問題を解決するために心理社会的アプローチを用いる。

人(心理的要因)の評価

男の子は、家族内での経験や感情について話すことに対して強い抵抗を示しましたが、徐々に信頼関係を築くことで、家庭内での暴力や恐怖について語り始めました。

彼の行動や感情の変化は、過去のトラウマや現在の恐怖が大きく影響していることが分かりました。

環境(社会的要因)の評価

家庭内では、父親がアルコール依存症であり、しばしば暴力を振るうことが明らかになりました。

母親もまた、経済的困難やストレスにより、適切な支援を提供できない状態でした。

学校や地域社会において、彼は孤立しており支援ネットワークが欠如していました。

人と環境の相互作用

このケースでは、心理社会的アプローチに基づき、以下のような介入を行いました。

人(心理的要因):男の子に対して個別のカウンセリングを提供し、トラウマの処理や感情の表現をサポートする。

環境(社会的要因):家族全体に対する療法を実施し、家庭内のコミュニケーション改善や支援の提供を図る。

相互作用:学校や地域社会と連携し、男の子が安全で支援的な環境で学び、成長できるように、地域のサポートグループや学校内でのメンタリングプログラムに参加する機会を提供。

失業によるストレスのケース

背景

40歳の男性が失業により深刻なストレスと抑うつ状態に陥っている。

彼は家族を支えるための唯一の収入源であり、失業により経済的な困難が危ぶまれる。

彼の妻と子供たちも、この状況に強い不安を感じている。

人(心理的要因)の評価

男性の心理的要因を評価したところ、失業による自己評価の低下や将来への不安が主な問題として浮かび上がりました。

彼は「失業」が自己価値を否定されたように感じてしまい、抑うつ症状が現れていました。

環境(社会的要因)の評価

社会的側面の評価では、家族の経済的困窮が顕著でした。

妻もパートタイムで働いていましたが、パートの収入では賄いきれません。

夫の失業により家族内のストレスが増加し、夫婦関係や親子関係に悪影響を及ぼしていました。

人と環境の相互作用

このケースでは、以下のような介入を行いました。

人(心理的要因):個別のカウンセリングを通じて、失業による自己評価の低下や抑うつ状態を改善するための支援を行う。認知行動療法を用いて、否定的な思考パターンを認識し、積極的な対処方法を学ぶ。

環境(社会的要因):就業支援プログラムに参加し、職業訓練や新しい仕事探しのサポートを受けたことにより、新たなスキルを習得し、自信を回復する手助けになった。

相互作用:家族全体に対する支援を行い、経済的な計画やストレス管理の方法を共有した。家族内のコミュニケーションを改善し、支え合う環境を構築した。

まとめ

心理社会的アプローチまとめ

人(心理的要因)と環境(社会的要因)が相互作用することで起きる問題を解決するアプローチ

複数の理論やアプローチの影響を受けているため、実践に応用しやすい

「人と環境の相互作用」を十分に評価するまで時間がかかる

今回は「心理社会的アプローチの活用方法」について解説しました。

アプローチを深く学ぶには、ソーシャルワークの幅広い知識を身につける必要がありますが「どこから学んでいいかわからない」となってしまう人が多いです。

アプローチを学ぶ際は、認定医療ソーシャルワーカーの取得がおすすめです。認定医療ソーシャルワーカーを目指す過程の研修で心理社会的アプローチを学ぶことが可能です。

アプローチの他に、MSWに必要な知識・技術を最短距離で学ぶことができるため、費用対効果も抜群に良いです。

認定医療ソーシャルワーカーの取得を目指すことが、ソーシャルワーク実践のモチベーションを高めるきっかけになれば嬉しいです。

≫ 認定医療ソーシャルワーカー取得のすゝめ

noteではブログでは発信できないソーシャルワーカーの実践について具体的かつ論理的に解説していますので「ソーシャルワーカーの業務を言語化したい」という方は必見になります。

≫ 9割のMSWが知らないクレーム前に必ず表出されるワード

本を活用して勉強することもオススメです。以下の本は「MSWに一人一冊必要」といっても過言ではないほど、ソーシャルワーク実践に役立つ社会資源や制度の知識が満載です。

こちらもぜひご検討ください。

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