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「ソーシャルワーカーは何の専門家なの?」と聞かれると、言葉に詰まる理由

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noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。

みなさんこんにちはKeiです。

救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。

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本日は、『「ソーシャルワーカーは何の専門家なの?」聞かれると、言葉に詰まる理由』というテーマを深掘りします。

「専門性がない」と感じる正体

私が勤めている病院は、4月になると毎年新しい医師が赴任してきます。

その際に、新しい医師から頻繁に投げかけられる質問が「ソーシャルワーカーって何の専門家ですか?」です。

この質問に、うまく答えられた試しがありません。

「資格はなんですか?」と問われれば、社会福祉士、認定医療ソーシャルワーカー、救急認定ソーシャルワーカーといった感じで即答できます。

ただ、それは資格の名前であって、“専門性そのもの”ではありません。

“退院支援”といった業務名で答えようとすると、「それだけじゃないしな〜……」となるし、かといって“ソーシャルワーク”という概念で答えようとすると、扱っている範囲が広すぎて、一言に絞れないのです。

そもそも論ですが、専門性という言葉自体が「どこからが専門で、どこまでが専門でないのか」という明確な線引きはなくて、実態はグラデーションです。

ただ、私が本当に答えに詰まっていた理由は、これだけではありません。

ソーシャルワーカーの仕事は、「うまくいくほど、ソーシャルワーカーの痕跡が消えていく」という構造があるためです。

ソーシャルワーカーの“色”はどこで生まれるのか|Kei@社会福祉士
みなさんこんにちはKeiです。 救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士8年目です。 社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。 noteとX

「調整」という言葉では、解像度が粗すぎる

ソーシャルワーカーの仕事は、よく「調整」とか「連携」という言葉で説明されます。

これらの言葉に移り変わった瞬間、解像度が一気に粗くなります。

たとえば、患者さんの家族と医師とでは、それぞれ前提も、使っている言葉も、優先したいこともバラバラです。

家族が見ているのは「入院前の生活に戻れるかどうか」。
医師の判断基準は「医学的な妥当性」。

この噛み合わない前提を、ひとつの意思決定ができる共通の形式に調合することが、ソーシャルワーカーの役割です。

「調整」や「連携」といった一言で片付けてしまうと、家族と医師の前提を調合するプロセスそのものが、見えなくなります。

「便利屋」と「専門家」を分けるもの

制度や社会資源に詳しいだけでは、情報を並べるだけで終わります。前提が噛み合わなければ、意思決定は前に進みません。

「便利屋」と「専門家」の境界線は3つあります。

まず、「元々の前提を一度分解して、ひとつの結論に調合し直す力」です。

たとえば、医師は早期退院を望む一方で、家族は在宅介護に不安を抱えている場合があります。

この間に入って、双方が納得できる着地点(最大公約数)を見つけるプロセスがうまくいくほど、ソーシャルワーカーの痕跡は消えていきます。

消えている分だけ、クライエントの意思決定はスムーズに進んでいるということです。

すると周りからは、「なんとなく話をまとめてくれる人」としか見えなくなります。

エピソードでしか語れないと、「便利屋」で終わってしまうのです。

「便利屋」と「専門家」を分けるのは、能力の差ではなく「構造で語れるかどうか」です。

さらに、「責任の所在」の話も避けて通れません。

ソーシャルワーカーの仕事は、医師の領域にも、看護の領域にも、少しずつ踏み込みます。

どこからどこまでが自分の役割か、境界はグラデーションになるため、責任の所在が曖昧になりがちです。

一方で、責任を引き受けていなければ、評価もついてきません。

私の場合は、患者さんやご家族が「今の状況に納得できているか」を、常に見ています。

「納得できていない状態を放置しないこと」が、私にとっての責任の引き受け方です。

患者さんやご家族が納得していない状態が続けば、それは私の責任(トータルコーディネート不足)になります。

「話が伝わらない責任」を受け止める勇気|Kei@社会福祉士
みなさんこんにちはKeiです。 救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士8年目です。 社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。 毎月5,00

そして、「行動に起こすタイミング」です。

「便利屋」は、頼まれてから行動します。
「専門家」は、頼まれる前に行動します。

患者さんやご家族と面接すると、医師の治療方針に、理解や認識が追いついていないことが見えてくることがあります。

まず、「理解や認識が追いついていない理由」を掘り下げます。病状の理解が追いついていないのか、それとも別の背景があるのか。

ここで病状の理解不足が問題であるとわかれば、誰にも言われる前に、私は医師に橋渡しをします。

「病状の理解が追いついてないので、患者さん・家族が今理解している位置まで戻って、説明していただけますか?」

課題を見つけて、自分から提案することができれば、もう便利屋ではありません。

まとめ

バラバラに見えていた経験は、言葉を与えられた瞬間に、一本につながります。

専門性がなかったわけではなく、それを説明する言葉が、足りていなかっただけなのです。

専門性は、「ソーシャルワーク」という概念を「構造」で捉え直したときに、初めて見えてきます。

名前を与えて、責任を引き受けて、先に動く。

それだけで、「便利屋」は「専門家」に変わっていきます。

  • 専門性は業務名や資格名ではなく、どんな問いを立て、どう判断したかで測られる
  • ソーシャルワーカーの仕事は、異なる前提を持つ人たちを、共通の意思決定ができる形に調合すること
  • 足りなかったのは実績や能力ではなく、ソーシャルワーカーの仕事を説明する言葉だった
  • 責任を引き受けて約束を果たすことで、「便利屋」ではなく評価される「専門家」になれる
  • ソーシャルワーカーの仕事を構造と言葉で整理できると、自信になり行動も変わる


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ではまた。

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Kei

現役社会福祉士8年目の30歳。
救命救急センターの医療ソーシャルワーカー。
 
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・救急認定ソーシャルワーカー
・情報誌執筆(約6,000文字)
・3,000人規模の学会発表(口頭)
・社会福祉士実習指導者
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