noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。
みなさんこんにちはKeiです。
救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。
noteとX (フォロワー2,400人以上)を500日以上毎日更新しています。
ソーシャルワーク関連のブログも発信中です。
本日は、『選ばれるソーシャルワーカーの「情報の渡し方」』というテーマを深掘りします。
「技術」だけでは選ばれない
ソーシャルワーカーの仕事をして9年ほどになりますが、経験を重ねるほど痛感しているのは、「技術がある」どうこうよりも先に、選ばれるかどうかを決めている要素があるということです。
ソーシャルワークは、突き詰めれば方法論はある程度似通ってきます。
アセスメントを行い、意思決定の伴走者としてクライエントの意向を確認し、多職種と連携する……
教科書的な手順は、誰がやってもそう変わりません。
9年ほどソーシャルワーカーを続けてきましたが、10年目と20年目のソーシャルワーカーの技術を比べても、知識量そのものの差はそこまで大きくないと感じています。
それでも、地域から指名されるソーシャルワーカーと、そうでないソーシャルワーカーは、はっきり分かれます。
この「選ばれるソーシャルワーカー」と「選ばれないソーシャルワーカー」は何が違うのでしょうか。
個人的な結論としては、技術よりも手前にある、もっと地味な部分だと思っています。
『「相手の組織がどんな苦労を抱えているか」を、どこまで想像できるか』という一点です。
技術は、資格や経験年数という形で可視化されやすいのですが、想像力は数値化しにくく、評価もされにくいものです。
「一緒に仕事をしたいソーシャルワーカー」という基準
ありがたいことに、院内の他職種や地域から、指名で「こんなときどうすれば良いと思う?」という相談をいただくことがあります。
そのたびに考えるのは、「相手が何を基準に人選しているか」ということです。
答えはシンプルで、「また一緒に連携をしたいソーシャルワーカー」だと思います。
一緒に連携をしたいソーシャルワーカーとは、連携していて負担が少ないソーシャルワーカーのことです。
負担が少ないソーシャルワーカーとは、「連携先の事情を、言われなくても想像してくれるソーシャルワーカー」です。
たとえば、月初は各々の期間でルーティンワークがあります。
- ケアマネ(地域包括支援センター)は給付管理
- 医療機関はレセプト
- 福祉事務所は保護費の支給事務
やむを得ず連絡をする場合でも、「給付管理の忙しいときに連絡してすみません」とひとこと添えられるかどうかです。
#「連携先が忙しいことは知っています」の姿勢
つまり、技術以前に問われているのは、「相手の立場を想像する力」です。
ここをすっ飛ばして技術だけを磨いても、選ばれるソーシャルワーカーにはなれません。
なぜなら、担当者は「このソーシャルワーカーと連携をして疲れないか(ストレスにならないか)」を見ているからです。
指名というのは、資格や経験年数ではなく、この一点の積み重ねで生まれるものだと感じています。
「経験年数20年」「部署長」といった実績よりも、こうした地味な配慮の蓄積の方が、指名につながっている実感があります。
「専門用語」という不親切
この「相手の立場を想像する力」が、わかりやすく崩れる瞬間があります。
「事務職(特に地域連携担当)に対して、同じ職種の人間にしか伝わらない用語を使ってしまうとき」です。
- 「看護必要度とれそうですか?」
- 「リハの起算日いつですか?」
- 「医療区分ありますか?」
事務職の方は、複数の専門職からのタスクを同時にさばいています。
そこに、専門用語を理解するための「翻訳(チューニング)」まで押しつけているのは、想像力が欠如しているからです。
結果的に曖昧なまま話が進み、後になって行き違いが表面化したりします。
これは、事務職の理解力の問題だけでなく、「説明する側が、相手の負担をあらかじめ想像していない」という問題もあります。
そもそも医療機関の事務職は、患者さんの医療行為に直接かかわりません。
かかわらないからこそ、専門用語で伝えられた内容は、「確認」するか「想像」で補うかしか選択肢がないのです。
事務職はいわば専門職の中継地点なので、この「確認」や「想像」を経た内容が、そのまま別の医師などの専門職に渡っていきます。
つまり、事務職が想像で埋めた「隙間」ごと、その先の相手に伝わってしまうのです。

越境者としての仕事
「医療区分ありますか?」と言っても、支障なく話が通じる人材が、同じ専門職同士以外にも存在します。
長年、同じ地域で何度も顔を合わせてきた人たちです。
用語だけに限らず、「この患者さんなら、たぶんこう返ってくるな」まで、お互い読めてしまうのです。
#これぞ癒着
ソーシャルワーカーの実力が出るのは、この癒着がない相手と話すときです。
そこで必要になるのが、相手に合わせて言葉をチューニングするプロセス(相手の立場を想像する力)です。
このプロセスが省略されてしまうのは、相手が困っていることに、そもそも気づいていないからです。
だからこそ、ソーシャルワーカーは、本来「越境者」であるべき職種だと思っています。
医療と生活、専門職と非専門職、制度と本人の意向。
ソーシャルワーカーには、異なる論理を持つ領域の間に立って、双方に通じる言葉に翻訳する技術が求められます。
専門用語のまま押し通すという行為は、その境界を越えずに、自分の言語だけで話そうとしていることに他なりません。
技術は、現場に入ってからでも磨けますが、相手の苦労を想像する姿勢は、意識して積み重ねなければ、一生身につきません。
選ばれるソーシャルワーカーと、選ばれないソーシャルワーカーを分けるものは、知識の量ではなく「どこまで、相手の事情を想像できるか」です。
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ではまた。


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