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「困る力」がない人は、助けられない

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noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。

みなさんこんにちはKeiです。

救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。

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ソーシャルワーク関連のブログも発信中です。

本日は、『「困る力」がない人は、助けられない』というテーマを深掘りします。

「困っている人」と「困る力がない人」

私はこれまで、数多くの「困っている人」と関わってきました。同時に、数多くの「困る力がない人」とも出会ってきました。

たとえば、ヤングケアラーの子どもたちです。

家族の介護や世話を日常的に担っていても、本人はそれを困りごとだと認識していません。

物心ついた頃からその役割を担ってきたため、それが自分にとっての「普通」になっているからです。

困っていないので、周囲に助けを求めることもありません。

学校の先生も、地域の支援者も、本人から発せられるはずの警報を、受け取ることができないのです。

セルフネグレクトの高齢者や、孤立している世帯といった、いわゆる困難事例にも同じ構造があります。

このような事例で共通しているのは「当人は困っていない」ということです。

困っていない人は助けを求めないし、支援者としても助けようがありません。

誰にも気づかれないまま時間だけが過ぎ、救急要請によって初めて明るみになることが、少なくないのです。

ソーシャルワークは、「助けてほしい」と言われて始まる仕事ではない|Kei@社会福祉士
みなさんこんにちはKeiです。 救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。 社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。 noteとX

患者さんから、「困る力」が消えるとき

これはヤングケアラーだけの話ではありません。

私が働く病院に救急搬送される患者さんの中にも、同じ構造を抱えた方が少なくありません。

  • 長年一人で生活を回してきた
  • 家族に頼れない
  • 「迷惑をかけたくない」という思いが強すぎる
  • 認知機能の低下で、困っていること自体に気づけない
  • 助けを求めて拒否された経験があり、頼ることを諦めている

理由はさまざまですが、根っこは同じです。

困っていないように見える人は、地域の民生委員やケアマネジャーから「支援が必要な人」として認識されません。

警報が鳴らない以上、支援者は介入のきっかけをつかめません。そして気づいたときには在宅での生活が破綻して、救急搬送されてきます。

「救急搬送されてきた」という事実は、「支援者が対応できる範囲を、すでに超えてしまった」ことの事後報告でもあります。

本人にとっては宝の山、客観的にはゴミ屋敷

私がソーシャルワークの現場で対応に苦慮する問題のひとつが、「宝の山(ゴミ屋敷)問題」です。

周囲から見ればゴミ屋敷でも、本人にとっては、そこにある一つひとつが大切な「宝物」になっているケースがあります。

  • 新聞や雑誌の切り抜き(いつか読み返すつもりのもの)
  • 空き容器やビニール袋(まだ使えるかもしれないもの)
  • 古い家電や家具(思い出とともにあるもの)
  • 拾ってきた雑貨や置物(誰かにあげようと思っているもの)
  • 賞味期限の切れた食品(もったいなくて捨てられないもの)

困る力がない人の多くは、問題に気づけていないか、声をあげられずにいます。

しかし「宝の山(ゴミ屋敷)問題」に関しては、本人はその空間に、はっきりとした秩序と価値を見出しています。

「困る」という感情が生まれるための前提、つまり「これは問題だ」という認識そのものが、そもそも存在しないのです。

支援者が良かれと思って片付けを促すほど、本人にとっては大切な宝物を奪われる経験になります。

その結果、信頼関係は損なわれ、本人は孤立を深め、支援そのものを拒む姿勢を強めていきます。

「困らせる」のではなく、「困れる関係」をデザインする

ここまで書いてきた三つの事例に共通するのは、支援の起点を「困らせる」ことに置いても、うまくいかないということです。

ヤングケアラーの子どもに「あなたは困っているはずだ」と言い聞かせても響きません。

宝の山(ゴミ屋敷)問題の本人に向かって「これは異常だ」と伝えても、宝物を否定された経験としてしか残りません。

地域に求められるのは、『「困ること」を、恥ずかしいことにしない環境を、先にデザインすること』です。

本人の論理を否定せずに理解したうえで、客観的なリスクを、本人の言葉が届く形に翻訳して手渡す。

これは、私がずっと大事にしてきた「環境デザインを優先する」という立場そのものです。
#長期的な目線でかかわる

“サービスが必要な人にほど届かない現代社会”と医療ソーシャルワーカー|Kei@社会福祉士
みなさんこんにちはKeiです。 救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士8年目です。 社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。 毎月5,00

「困る力」がない人を変えようとするのではなく、困る力を発揮できる環境を、こちらが先にデザインする。

ソーシャルワークは、その環境を設計することに意義があります。

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社会福祉士(ソーシャルワーカー)のメンバーシップを作った背景|Kei@社会福祉士
当記事は「Keiが作るメンバーシップについて」というテーマを考察します。 みなさんこんにちは。Keiです。 救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士8年目です。 社会福祉士取得後、最速で認定医療

ではまた。

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Kei

現役社会福祉士8年目の30歳。
救命救急センターの医療ソーシャルワーカー。
 
≪取り組み実績≫
・認定医療ソーシャルワーカー
・救急認定ソーシャルワーカー
・情報誌執筆(約6,000文字)
・3,000人規模の学会発表(口頭)
・社会福祉士実習指導者
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