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noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。
みなさんこんにちはKeiです。
救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。
noteとX (フォロワー2,400人以上)を500日以上毎日更新しています。
ソーシャルワーク関連のブログも発信中です。
本日は、『やりがい搾取の先に待っているのは、赤字病院という結末』というテーマを深掘りします。
病院経営も、本業(医業)だけでは立ち行かない時代
ひと昔前は、「病院は生活に欠かせない社会インフラだから、簡単には潰れない」という考え方が一般的でした。
しかし、現在は状況が一変しています。病院の閉院が相次ぎ、人員不足や建物の老朽化を理由とした統合も各地で進んでいます。
病院が閉院に追い込まれる理由のひとつは、物価上昇に診療報酬が追いつかず、医業収益だけでは経営を維持できなくなっていることです。
診療報酬は、2年に1回の改定すると、国が定めています。
一方で、インフレは毎年2%程度進み、人件費は上がり続けています。物価はもちろん、医療材料費や光熱費も右肩上がりです。
冷静に考えれば、毎年インフレが進む一方で、診療報酬の改定は2年に1度です。このタイムラグがある以上、病院が物価上昇に対応し続けるのは極めて厳しい状況です。
現場は疲弊し、赤字は膨らみ、それでも表立って声を上げる人は多くありません。
「赤字でも仕方ない」という考え方は、美談ではなく、問題を先送りにしているだけです。
そしてその先にあるのは、閉院や病床削減という、クライエントにとって最も望ましくない結末です。
「経営が苦しい」と言えない組織は、いずれ「もう続けられない」としか言えなくなります。
自治体などで運営される公立病院も例外ではありません。
経営判断が先送りされ、気づけば後戻りできない状況にまで追い込まれます。そして、「もう閉院以外に選択肢がない」という段階になって初めて、大きな決断を迫られるのです。
その頃には、取り返しがつかないところまで事態は進んでいます。慌てて手を打とうとしても、もう遅いのです。
今、必要なのは我慢比べではなく、「医業以外の収益を、堂々と組み立てる発想」です。
医療という機能を守るためにこそ、医療以外の収益源が必要な時代に入っています。
病院には、「健康」になりたい人が集まってくる
病院には、「健康」の獲得を目的とした患者さんがたくさん来院されます。
これは、一般的な企業からすれば喉から手が出るほどの集客力です。
しかも、ただの人通りではありません。健康や生活に強い関心を持った人たちが、自ら足を運んでくる場所です。
- 薬局
- 介護タクシー
- 配食サービス
- 福祉用具のレンタル業者
- 葬儀社
- 訪問看護ステーション
- 施設仲介業者
病院の周りには、クライエントの生活を支える事業者が無数にぶら下がっています。
彼らの商売は、病院という箱物から始まることが少なくありません。
介護保険のサービスを利用するきっかけには、医療(病院・診療所)が絡んでいることが大半です。
なのに病院は、その動線から一円も受け取っていません。
紹介された事業者は売上を伸ばし、感謝され、事業を継続できる一方で、病院だけが、価値を生み出した分の対価を何も得ていない。
この構造は、そろそろ見直されるべきだと思います。
病院は、信頼というお金では買えない資産を毎日積み上げているにもかかわらず、それを収益につなげる仕組みが十分に整っていません。考えてみれば、これほどもったいないことはありません。
集客力があるのに収益化の仕組みがないのは、経営の視点からみると明らかに不自然な状態です。
コンビニやドラッグストアは、来店客の動線一つひとつを分析し、商品配置から会計までを設計し尽くしています。
病院にも、それと同じレベルの動線設計があってもいいはずです。人が集まる場所には、必ず経済圏が生まれます。
病院だけが、その経済圏の外側に立ち続ける理由はありません。
#非営利事業であることは百も承知
インセンティブは癒着ではない
病院がクライエントに適切な選択肢を紹介し、その対価として紹介料を受け取る。
この話を聞くと、多くの人は「それは癒着ではないか」と身構えるかもしれません。
実際、医療ソーシャルワーカーの現場でも、施設仲介業者との癒着が問題視されてきた経緯があります。
でも、一度冷静に考えてみてください。良いサービスを紹介して対価を得ることは、社会のあらゆる場所で当たり前に行われています。
不動産屋も、保険代理店も、旅行会社も、紹介と対価という同じ仕組みで成り立っています。
医療だけが特別扱いされてきたのは、クライエント(患者さん)という弱い立場につけ込んだ、悪質な誘導を防ぐためです。
この理由自体は、正当なものです。
透明性を確保し、クライエントにとって本当に良い選択肢だけを紹介するのであれば、そこに後ろめたさはないはずです。
むしろ問題なのは、収益構造が見えないまま、必要のない検査や不要に長い入院日数で帳尻を合わせることです。
#「良い癒着」と「悪い癒着」を見極める
クライエントにとって不要な医療で収益を得るよりも、周辺事業からの収入で病院経営を支えたほうが、クライエントの利益につながります。
大事なのは、「紹介料を受け取るかどうか」ではなく、「隠すか、隠さないか」です。
不透明な形で行われれば悪い意味での癒着になってしまう一方で、仕組みを公開し、クライエントにも紹介料を受け取ることを説明した上で紹介するのであれば、それは透明性のあるビジネスモデルです。
医療が本当に向き合うべきなのは、紹介そのものではなく、「どのように紹介するか」です。
「紹介料を受け取っています」とクライエントに伝えた上で、それでもクライエントが納得して選ぶのであれば、問題はありません。
#推奨するつもりはない
むしろ、収益構造を隠したまま「あなたのためです」と説明するほうが、クライエントにとっては不誠実ではないでしょうか。
「清くあるべき」というやりがい搾取が、医療を貧しくしてきた
「医療や福祉はお金の匂いをさせてはいけない」という思い込みが、結果として医療福祉現場を貧しくしてきました。
#頼みの綱は補助金
お金の話を避け続けた結果、現場の疲弊は限界に近づき、閉院や病床削減という形で、本来クライエントに届くはずだった医療そのものが、静かに失われています。
守りたかったのは「清さ」ではなく、目の前のクライエントだったはずです。
だとしたら、清さにこだわって医療が消えてしまうより、多少泥をかぶってでも医療が残るほうを、選ぶ選択肢もあると思います。
守りたい一心で変化を拒んだ結果、守るべきものごと消えてしまうのでは本末転倒です。
「変えないこと」は「守ること」の証明にはなりません。
変わり続けることでしか、守り抜けないものがあります。病院という環境も、そろそろその現実と向き合う時期に来ています。
ブランドがある病院が持つ圧倒的な集客力を、正々堂々と収益源に変えることは、医業のごり押しを抑制し、クライエントにとっても、周辺事業者にとっても、健全な仕組みをつくることにつながります。
「赤字でも仕方ない」という考え方を手放す勇気こそ、これからの病院経営に必要なマインドです。
医業だけで赤字を埋めようとする時代には終止符を打ち、人と人を適切につなぎ、その対価を正々堂々と受け取る。
病院が持つ信頼を、持続可能な経営へとつなげていく仕組みをつくることが重要です。
「赤字でも仕方ない」と言いながら静かに地域から病院が消えていくのか。それとも、批判を恐れず新しい仕組みに挑戦し、病院を存続させながら医療を届け続けるのか。
本当に守るべきなのは、「赤字でも仕方ない」という価値観ではありません。
地域に必要な医療を、10年後も20年後も届け続けられる病院です。
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ではまた。


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