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noteを2023年11月から始めました。ブログでは発信できない医療ソーシャルワーカーのタブーを表面化していこうと考えています。「MSWってこうだけど表ではいえない」を代弁しますのでぜひ読んでみてください。
・社会福祉士になると勝ち組なの?
・勝ち組といわれるくらいだから年収いいの?
・どうすれば勝ち組の社会福祉士になれるの?
社会福祉士になったら勝ち組といわれることもあるようですが「何をもってして社会福祉士が勝ち組であると定義するか」によります。社会福祉士は様々な職場で活躍するため、勝ち組の定義も異なります。
私は5年以上病院の社会福祉士を継続して様々な分野の社会福祉士と連携してきました。その際、リスペクトできる「勝ち組」ならぬ「価値組」とたくさん出会ったことで仕事のモチベーションになっています。
当記事では「勝ち組」ならぬ「価値組」の社会福祉士になるためのノウハウを解説します。この記事を読めば「価値組社会福祉士」になるための時間の使い方が全てわかります。
社会福祉士が「価値組」になるには、ソーシャルワークに関心を持つことが不可欠です。私が出会った中でで「社会福祉士は勝ち組」だとおっしゃる方は決まって楽しそうにソーシャルワークを実践している方ばかりです。

“価値組社会福祉士”になりたい方は必見です!
ソーシャルワークに関心がある社会福祉士は“価値組”

社会福祉士が勝ち組かどうかは個人の定義や目標によります。社会福祉士の職業は社会に貢献し、人々の生活を支援する非常に意義のある仕事です。しかし、給料や職業の安定性は地域や雇用機械によって異なります。
この記事では“価値組社会福祉士”をソーシャルワークに深い関心がある社会福祉士と定義して解説していきます。
ソーシャルワークという学問を知れた時点で“価値組”
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(2014年国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)総会及び国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)総会において定義を採択。)
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。
社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。
ソーシャルワークの理論、社会学科、人文学、および地域・民族固有の知を 基礎として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。
この定義は、各国および世界の各地で展開してもよい。
日本ソーシャルワーカー連盟(JFSW)より引用
ソーシャルワークという学問を知れたことは人生において大きな財産です。個人やコミュニティの人権を尊重し、不平等や差別に立ち向かう役割を果たします。社会正義を追求し、社会的な変革に貢献することができます。
この学問がが普及することによって、根拠のない理由でインターネット等を通じて誹謗中傷をしたり、様々な物事に挑戦しようとする人を叩くといったようなネガティブな思考が減少します。

ソーシャルワークの考え方を理解していれば挑戦する人間を本気で応援できるし、差別や偏見といった概念も払拭できます。
ソーシャルワークについては、以下の記事で解説しています。現役社会福祉士である私がわかりやすく解説しています。
社会福祉士の仕事はAIで代替できない
大手企業であるマイナビのサイトで、AI時代でも需要がある資格として社会福祉士が取り上げられています。社会福祉士の仕事がAIに奪われない理由はAIにソーシャルワークはできないためです。
クライエントとの人間関係や個別のニーズを対処することに焦点を当てており、少なく見積もっても以下の支援がAIでは難しいです。
- 感情的なサポート:励ましや共感など
- 個別化:個別の状況や背景を考慮しながらの支援など
- 倫理的な判断:病気の進行が不可逆的な患者さんに対しての延命治療など
- ラポールの構築:ニーズや問題を共有しやすくなるなど
AIは、社会福祉士の仕事を補完するツールとして活用される可能性が高いですが、感情的な支援や倫理的な判断に関連する側面においては代替不可能です。

銀行員や電車運転手がAIに奪われるとされている中でAIに代替されない社会福祉士は勝ち組です!
下記の記事で社会福祉士がAIに代替されない理由を詳しく解説しています。
多様なキャリア機会と需要がある
社会福祉士は様々な分野で活躍できます。老人福祉、児童福祉、障害者支援、精神保健、教育、医療等多くの分野でキャリアを築く機会があります。
これからの社会福祉士は、どの分野においても社会的な変化や問題解決を促進するためのソーシャルアクションを展開することが重要です。
少子高齢化や貧困といった社会的問題や、ジェンダーや性別等に対する不平等に対抗しポジティブな変化をもたらすアプローチが社会から求められます。
日本はこれから少子高齢化問題に真剣に向き合わなければなりません。この問題に対しての専門的な知識を身につけている社会福祉士が負け組であるはずがありません。
社会福祉士のメリットに関しては下記の記事で解説しています。
年収のみにフォーカスすると…
社会福祉士の年収は、地域、組織、経験、職種によって異なります。令和2年度社会福祉士就労状況調査実施結果報告書によると、社会福祉士の年収は403万円という結果となっています。
国税庁が実施した令和4年分民間給与実態統計調査結果についてによると、民間企業の平均年収は458万円でした。このことを踏まえると、社会福祉士の年収は一般企業と比較して低いことが現実です。
年収のみにフォーカスするとやや物足りない印象がありますが、ここまで解説してきたようにAIに代替されない点や、老人福祉をはじめとした多様な分野での活躍が期待できることから食いっぱぐれることは極めて少ない職業です。
“価値組社会福祉士”の時間の使い方
ソーシャルワークに深い関心がある社会福祉士を“価値組社会福祉士”を定義しましたが、“価値組社会福祉士”になるための時間の使い方を解説します。
手帳、TODOリスト、カレンダー、アプリ等みなさんはあらゆる手段で時間の管理をされているでしょう。それは、みなさんが「時間を管理している」のではなく、「時間に管理されている」に過ぎません。
「時間」は自分の意思に関係なく刻々と進むものであり、管理しようとしてもできるものではありません。管理するべきなのは、「最優先事項を優先する」という、行動の順序です。
より具体的に解説するために、医療分野の社会福祉士(以下MSW)を例にして解説していきます。

時間の使い方は4つの領域に分けられています。
第Ⅰ領域 緊急で重要なこと
「緊急で重要なこと」とは、「自宅が火事になった」、「大地震が起こった」、「急な病気になった」等の「早急に行動に移さなければならないこと」です。
「緊急で重要なこと」の主な例は以下のとおりです。
・ソーシャルハイリスク患者へのアプローチ
例:身寄りなし、健康保険未加入、自殺企図
・「申請日」が重要な社会資源の申請
例:生活保護、難病医療費助成制度、障害者手帳
・大事なクライエントへの急対応
例:遠方、仕事が多忙等で滅多に来院されない家族の対応
「緊急で重要なこと」は、MSWの場合、救急医療の現場で頻繁に発生します。急病と併せて顕在化されることが多く、今まで潜在化されていたクライエントの心理的、社会的問題が一気に浮き彫りになります。
中でも上記で紹介したような事例は、安心、安全な医療を提供するために早急な対応が求められるため、MSWの活躍は欠かせません。
ソーシャルハイリスクを伴うクライエントに関しては下記で解説しています。
第Ⅱ領域 緊急ではないが重要なこと
「緊急ではないが重要」は、「重要であることは承知していながら行動になかなか移せないこと」です。「自己研鑽や自己投資」が当てはまります。
・学会や研修への参加して知識向上
・認定医療ソーシャルワーカー、救急認定ソーシャルワーカー等の資格取得
・様々なイベントに参加して人間関係づくり
・ジムやヨガなどに通って健康促進
上記は、ほんの一例に過ぎませんが、「時間がない」を理由に、つい後回しにしてしまいます。
後述しますが、この領域が最も重要な領域です。
第Ⅲ領域 緊急だが重要ではないこと
「緊急だが重要ではないこと」は、「早急な対応が必要であるが、最優先事項ではないこと」です。
一見パッと思い浮かばないかも知れませんが、意外と無意識に組織の「決まりごと」として対応しているものです。
・重要でないメールへの返信
例:期限が先の会議の日程
・突然の来客対応
例:病院、介護施設等のの営業
・日々の電話対応
例:病院、介護施設等の空所情報、〇〇書類FAXの確認電話
上記のような例は、即座の対応が求められるものの、「今じゃない!」と叫びたくなるようなことも見受けられます。
第Ⅳ領域 緊急でも重要でもないこと
「緊急でも重要でもないこと」は、いわゆる「娯楽」です。娯楽を否定する訳ではなく、あくまでも領域として解釈してください。
・意味もなくテレビやネットを見続ける
・だらだらとアプリやゲームをする
・待ち時間
・雑用
例を挙げ出したらキリがありませんのでこのくらいにしておきます。人間は、ついこの領域に逃げ込みたくなります。
「コストがかかりにくく」「労力を必要とせず」「責任も問われない」ため精神的な負担が少なくて済みます。

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“価値組社会福祉士”は多くの時間をは第Ⅱ領域に使う
実際の私の業務を振り返ってみると、毎日が第Ⅰ領域に追われて1日が終わっていることがわかりました。
MSWは、先ほど例に出したソーシャルハイリスク患者の対応や、医師の急なIC (患者、家族への病状説明)の同席、電話対応に追われ、毎日ヘトヘトになって帰路に着きます。
帰宅後の私は、食事と入浴を終えた後、特に目的のないネットサーフィンをして就寝します。やっとの思いで第Ⅰ領域終わらせて、その反動で第Ⅳ領域を繰り返すといった生活の人が少なくありません。
“価値組社会福祉士”は自己研鑽を怠らない
先述した4つの領域で最も重要な領域は、第Ⅱ領域「緊急ではないが重要なこと」です。
人としての成長に役立つ活動や、将来的に第Ⅰ領域「緊急で重要なこと」に対応する準備活動(研修参加、資格取得等)にするなどがあてられる時間です。
私も“勝ち組社会福祉士”になれるように、先日第Ⅱ領域に時間を使ってきました。


学会を通して「MSW業務のモチベーションアップ」「MSW同士の交流で連携の輪が広がる」「SNSのみの交流だった人と対面で繋がる」等で非常に有意義な時間を過ごせました。
第Ⅱ領域である「緊急ではないが重要なこと」を増やすには、第Ⅲ領域「緊急だが重要ではないこと」、第Ⅳ領域「緊急でも重要でもないこと」を減らすことが重要です。
第Ⅲ領域、第Ⅳ領域を減らす工夫をする
第Ⅳ領域「緊急でも重要でもないこと」を減らすのは「意志」しかありません。あらゆる誘惑に勝つメンタルが不可欠であるため、一気に遮断するよりは、徐々に減らしていく方が効果的でしょう。
第Ⅲ領域「緊急だが重要ではないこと」を減らすことは難しいです。立場や年齢によっては、進んで第Ⅲ領域をこなさないと、周囲からの目が気になる環境にいる方もいるでしょう。
私が、第Ⅲ領域を減らすために実行していることは、「極力自分の部署に滞在しない」ことです。サボるのではなく、可能な限り「自分の部署以外で業務を行うようにする」ことで、無理やり業務の幅を狭めています。
個人的なおすすめは、病棟で業務をこなすことです。対応が必要なことがあれば連絡がくるので問題ありませんし、カルテも病棟で書くようにしています。病棟で業務をこなすメリットを紹介します。
- 病棟スタッフとの距離が近くなり、より密接なコミュニケーションが図れる
- 突発的な営業や、部署に直接かかってくる電話を対応しなくなる
- ソーシャルワークに費やせる時間を確保することができる
こうした取り組みによって、第Ⅱ領域「緊急ではないが重要なこと」の時間を作ります。
1週間の予定の立て方は第Ⅱ領域優先
予定の立て方は、1週間単位で、第Ⅱ領域「緊急ではないが重要なこと」を優先的に割り振ってください。人間には色々な役割があります。「夫」としての役割、「会社員」としての役割、「個人」としての役割等に「社会福祉士(専門職)」としての役割も組み込んでいきましょう。
その間に、別の領域が入ってくるように工夫してスケジューリングをすることが重要です。第Ⅰ領域「緊急で重要なこと」に関しても、なるべく委任してください。
委任できない環境であれば、先述した「極力自分の部署に滞在しない」ことで頼まれない環境を自ら作り出します。

上手に仲間を利用することで自分の負担を減らしましょう。

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この記事のまとめ
この記事で押さえておきたいことは以下の4つです。
- “価値組社会福祉士”の時間の使い方は4つの領域に分けられる。
- 1番重要な領域は第Ⅱ領域「緊急ではないが重要なこと」。
- 第Ⅱ領域「緊急ではないが重要なこと」を確保するには、第Ⅲ領域「緊急だが重要ではないこと」、第Ⅳ領域「緊急でも重要でもないこと」を減らす。
- 予定の立て方は、1週間単位で、第Ⅱ領域「緊急ではないが重要なこと」を優先的に割り振る。
今回解説した時間の使い方は、医療分野に限らず、すべての分野で応用が効きます。
第Ⅱ領域「緊急ではないが重要なこと」は仕事に限定する必要はありませんので、「仕事とプライベートを分けて考えたい」という人にもおすすめできるタイムマネジメントになっています。
今回は「“勝ち組社会福祉士”になるための時間の使い方」について解説しました。時間の使い方も重要ですが、「ストレスを溜めない働き方を身につける」ことはさらに重要です。
以下の記事では「社会福祉士(MSW)のストレスの正体」について解説しているのでこちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
noteでは、医療ソーシャルワーカー(以下MSW)に関する具体的な「調整技術」について詳細に解説しています。
MSWが病院でソーシャルワークを実践するには、ソーシャルワークを実践するための「時間」を確保することが重要です。入院期間という限られた期間内で時間をを作るには個人や組織、地域との「調整技術」を磨く必要があります。
MSWの実践で役立つ交渉術や立ち回り、考え方を解説していますので、ソーシャルワークを展開するための面接や連絡調整における様々な技術を参考にしていただければ幸いです。

この記事の参考文献
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