noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。
みなさんこんにちはKeiです。
救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。
noteとX (フォロワー2,400人以上)を500日以上毎日更新しています。
ソーシャルワーク関連のブログも発信中です。
本日は、『ボールを磨くだけでは、野球が上手くならない』というテーマを深掘りします。
知識は、ただの在庫に過ぎない
「勉強しています」という状態には、自分でも少し注意が必要だと感じています。
- 研修を受けた
- 本を読んだ
- 制度の内容を覚えた
私はこういった「理解」を、無意識に「進捗」だと捉えてしまうことがあります。
でも、それは進捗ではなく、実際はただの在庫です。
棚にボールを並べても、球技は上手くなりません。素振りをせず、ルールブックだけを暗記して「野球に詳しい人」になった気になる。
それに近いことを、私自身も知らず知らずやっています。
受講してきた研修の数、取得した資格の数などを積み上げれば賢くなれる気がしてしまうのです。
自分で検証していない知識は、噂話と大差ありません。
「誰かが言っていた」「どこかで読んだ」をそのまま受け売りしているだけなら、出典が学術論文でも、SNSの又聞きでも、構造は同じです。
「私はこう思う」ではなく「誰かがこう言っていた」を、右から左に流すのは、理解ではなく、伝言ゲームなのだと、自分に言い聞かせています。
「知っている」=「できる」ではない
私自身、9年近くソーシャルワーカーをしていますが、年数を重ねるほど、「知っている」を「できる」だと錯覚しやすくなる感覚を実感します。
新人の頃は「できないこと」がはっきり見えてたので、聞くし、試すし、恥をかきます。
ところが経験を積むと、知っている言葉の数だけが増えていきます。
- 制度の名前
- 専門用語
- 業界の常識
これらを流暢に語れるようになった瞬間、自分の中で「理解した」というスイッチが入ってしまいます。
「知っている言葉が増えること」と「実際にできること」は別物です。
これは能力の問題というより、構造の問題だと思っています。
新人のうちは「できない自分」を前提に動くので、検証せざるを得ません。
しかし、経験年数を重ねると「知っている自分」を前提に動けてしまうので、検証を飛ばしても業務が回ってしまいます。
回ってしまうので、誰も止めてくれません。
周囲から「頼れる人」に見えているうちに、自分の中の「勘」が錆びついていきます。
経験年数と実力が比例しなくなるのは、「知っているつもりでいると、確かめようという気持ち自体が湧いてこない」がひとつの要因です。

「知っている」ではインプット止まり
ソーシャルワーカーの仕事は、制度の知識を「知っている」だけでは成立しません。
退院支援の流れを頭に入れていても、目の前のクライエントには当てはまらないことのほうが多いからです。
- 家族構成
- 経済状況
- 本人の納得度
これらは、毎回異なる組み合わせになります。
本来、同じケースワークはひとつもないはずですが、経験年数が積み上がると、「だいたいこのパターンだろう」で処理してしまうことが増えていきます。
過去にうまくいったやり方を、確かめもせず今回にも当てはめてしまうアプローチは、応用ではなく、コピペです。
#韻は踏む

ソーシャルワークには検査値のような「答え合わせ」がありません。
よって、エバリュエーション(事後評価)をしないままケースを終結させることもできてしまいます。
エバリュエーションをしないソーシャルワーカーほど、「本人が良いと言ったので」の一言で、すべてを合理化してしまいます。
その「良い」が、本当に納得なのか、それとも遠慮なのか、疲れ果てての諦めなのか。
ここを検証せず、過去の経験則で処理していないでしょうか。

ソーシャルワークに、正解はありませんが間違いは確実にあります。
制度の名前をどれだけ知っていても、「本人が良いと言ったので」を鵜呑みにしていたら、それは支援ではなく事務作業です。
「介護保険の仕組みはこう」「この制度はこう使う」といった情報は、AIに聞けば教えてくれます。
しかし、ソーシャルワーカーが本当に意識しなければならないフェイズは、その先です。
「その情報、本人にどう説明したか。どんな顔をしていたか」を、AIは理解できません。
クライエントの表情や間、言葉にならなかった部分を拾えるのは、現場に立ったソーシャルワーカーだけです。
在庫を、実践に変える
知識コレクターになるのは簡単です。
- 読む
- 聞く
- 覚える
これだけで満足していたら、「勉強している自分」に酔いしれているだけです。
それを実際のケースで実践し、思うようにいかなかったとき、「なんでダメだったのか」を自分に問い直す。
この面倒くさいプロセスを踏むことで、知識は理解に変わっていきます。

「それはなぜ?」「だから何?」。
この往復を、日々のソーシャルワーク実践でどれだけ繰り返せているか。
棚に並べたボールの数ではなく、実際にグラウンドに立った回数で、自分の実力を測りたいです。
ボールを磨くほど、「もう十分知っている」という気になってしまいます。でも一番危険なのは、無知ではなく、その既知感の方です。
ボールは、飾るためではなく、野球をするためにあるので。
▼認定医療ソーシャルワーカー兼救急認定ソーシャルワーカーが運営するメンバーシップの加入はコチラ↓
» ソーシャルワーク部メンバーシップ(/月額590円/初月無料)

ではまた。


コメント