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noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。
医療ソーシャルワーカー(以下MSW)は対人援助職であるため、人間関係をはじめとしたストレスが非常に多いです。
慢性的にストレスのある状況を打破するべく様々なソーシャルワークの文献を読みましたが、ソーシャルワークの実践や理論の本は山ほどあるのに対して、業務に対するメンタルケアの本は、ほぼありませんでした。
私はMSWを5年以上続けてきた中で、数えきれないほど人間関係のストレスを抱えてきました。ストレスの原因が明確になったことで心に余裕を持ちながら仕事ができています。
当記事では「MSWのストレスの原因」を解説します。この記事を読めば、ストレスに悩んでいた社会福祉士が、ストレスの原因と対処法を学ぶことができて、ソーシャルワーク実践のクオリティを上げることができます。
MSWの仕事がきつい原因はストレスが多くかかるためです。この記事を最後まで読んで、ストレスをコントロールしましょう。
ストレスの多くかかる環境でMSWを継続するよりも、思い切って転職を決断することも一つの選択肢です。下記のサイトでMSWの転職について徹底解説しています。
ストレスには3つの種類がある
ストレスに種類があること自体把握していない方も多いと思います。
MSWを脅かすストレスは「ショート」「ループ」「ロング」の3種類にわかれています。
身近で頻繁に起こる「ショートストレス」
「日常生活のちょっとしたストレス」のことです。
「痛い」「熱い」「寒い」などの突発的なものが多いです。
MSWのショートストレスは「締切」「課題」等が当てはまります。期限が定められているものはストレスを感じやすいです。
急性期病院で例えると「在院日数」が当てはまります。
複数回にわたって起こる「ループストレス」
「何度も同じストレスが繰り返される」ことです。
職場や学校など定期的に通う場所にストレスの要因がある場合があります。
MSWは多職種連携が必須です。相性が良くない方々ともコミュニケーションを取らなければなりません。
以下のようなループストレスが蓄積されている人も少なくありません。
- MSWではない部署長からのダメ出し
- 結果しか求めてこない経営陣
- 重箱の隅を突いたような指摘しかしないお局etc…
上記のようなストレスは、個人で対処することは難しいため転職も考えるべきです。下記の記事でMSWの転職について徹底解説しています。
MSWを一番苦しめている「ロングストレス」
「ループストレスが慢性的になることで感覚が麻痺して放置しているストレス」のことです。
MSWは「将来性の不安」についてのストレスが大きいです。
20年以上MSWしてこの給料か…
毎日連絡調整を強いられ、夜遅くまで記録を書いて、帰宅時間が遅いのにも関わらず、お給料が低いMSWは少なくありません。
私も「残業代込み」で自分の収入を考えざるを得ないくらい低賃金の職場で日々慢性的なストレスを感じています。
ロングストレスの怖いところは、「ストレスの感覚が麻痺して放置」することで「身体が悲鳴を上げて病気になる」ことがあります。
最悪の場合は「自分で自分を傷つけたり、殺めたり」することもあります。
MSWがロングストレスを多く抱えていることを裏付ける傾向もあります。
いまの社会福祉士の働き方やお給料で、将来うまれてくるかも知れない自分の子どもに誇らしく、「社会福祉士になったほうがいいよ!」なんていえない。
— Kei@社会福祉士 (@kei5850) April 28, 2023
少しでもいえるように、変えていかなければならない。
社会福祉士の国家試験が終わったわけだが、合格点が高かったり、合格率の問題は結果論。
— Kei@社会福祉士 (@kei5850) March 15, 2022
受験者数が減少していることについてのほうが将来的に死活問題になるだろう。
上記のように、私のアカウントで反響の大きいものは、ロングストレスが元になっていることが多いです。
MSWに限らず、社会福祉士の多くが「社会福祉士の将来性について」悩まれていることがわかります。下記の記事で詳細に解説してます。
「決めつけ思考」原因でストレス過多になる
MSWのメンタルを潰しているのは「上司」でしょうか?「組織」でしょうか?答えは「自分自身」であるとこの文献には書いてあります。
最も打破するべきなのは、自分自身の「決めつけ思考」です。
人間は、自分自身が思っている以上に「主観的な生き物」です。
「自責」と「他責」を主観として捉えてしまう
決めつけ思考の最たるものが「自責型社会福祉士」と「他責型社会福祉士」いずれかのタイプになってしまうことです。
上記2つのタイプに該当するMSWを脳内に思い浮かべることができると思います。しかし、確固たる「事実」に基づいているのか「主観」であるのか見直す必要があります。
「MSWなんだから客観的思考に決まってるやん」と思った方は、本当に客観的に物事を捉えることができているか、今一度振り返りましょう。
「自責型」のMSW
私この仕事向いてないから…
私いつも失敗しちゃうんです…
上記のように、全て「自分」のせいにしてしまう「自責型MSW」タイプ。
「初任者MSW」や「職場環境が変わったMSW」に多いです。
「他責型」のMSW
うちの組織のまとまり最悪だからやりたいことができない…
こんな地域じゃクライエントのニーズに応えられないよ…
上記のように、全て「環境」のせいにしてしまう「他責型MSW」タイプ。
みなさんの職場にも少なからずいると思いますし、中には「ギクッ」となった方もいるでしょう。
MSWはクライエントの心を読めない
経験の長いMSWであればあるほど「クライエントの考えていることはわかる」と決めつけていることが少なくありません。
私もそうでしたが、実際に私のソーシャルワーク実践を振り返ってみると、ここでも「決めつけ思考」が行われていました。
家族が遠方にいると決めつけていた
「重度の熱中症で救急搬送された高齢の患者さんの身寄りが不明」とのことでMSWへ介入依頼がきたケースです。
身寄りが乏しい患者さんは、今後の治療の方針を家族等のキーパーソンと共有するために早急な対応が必要になります。
しかし、患者さんと話しても詳細な情報を教えてくれませんでした。
私はこのとき「家族が遠方で心配をかけたくない」から詳細な情報を教えてくれないのだと思い込んでいました。
その後、民生委員を介して「家族は徒歩圏内に住んでいる」との情報がわかりました。
患者さんの娘さんが来院され「幼い頃から家庭内で暴力を振るわれて疎遠になっていた」ことが明らかになりました。
MSWは患者さんの権利を守る必要があります。MSWが担保しなければならないアドボカシーについて下記で詳細に解説しています。
「この家族は話が通じない」といわれた
元々自立されていた患者さんが排泄に介助を要するようになったため、MSWへ介入依頼があったケースです。
入院した患者さん(90代)の身寄りは、独身の息子さんのみでした。
息子さんは、MSWが介入する以前から「話が通じない人」であると病棟内で噂が広がっていました。
私は普段の2割増しでカルテを読み込んだり、資料を多く持参して「話が通じない人」に向けて対策して面接に臨みましたが、完全な「決めつけ思考」でした。
息子さんと面接すると「母親思い」で将来的な介護の対応もしっかり考えていました。入院と同時に地域包括支援センターへ自ら足を運んで相談をされていました。
「母親思い」が「マザコン」にすり替えられてしまい、鬱陶しくなった結果「話が通じない人」になってしまったと推測できます。
MSWは、このような過信による「決めつけ思考」が頻繁にあります。下記の記事で詳細に解説しています。
電話では無愛想な人に対面したら聖人だった
対面であったことは皆無でしたが、頻繁に連絡調整を行うことが多かった病院のMSWへ「決めつけ思考」をしたケースです。
電話越しでは声が小さくて聞き取りにくいため、勝手なイメージで無愛想な性格なんだろうなと決めつけていました。
実際に対面の会議でお会いした際、無愛想な性格だと思っていたMSWから積極的に挨拶していただき、非常に気さくな方だったことがわかりました。
連絡調整を行う他病院のMSWの印象に対して「決めつけ思考」をしていることは多いです。
このケースの「決めつけ思考」は嬉しい誤算でしたが、コミュニケーションを取りにくいMSWがいることも事実です。以下の記事でネゴシエーションについて解説しています。
勝手に「性格診断」してしまう
私が働いている病院は高度急性期病院であるため、患者さんが短期間で頻繁に入れ替わります。
病院内では、患者さんや家族の性格診断がされていることが多いです。
〇〇さんて頑固な性格だよね〜
ありがちな会話かもしれませんが、別の方に様子を伺ってみると「あれ?」と思うときがあります。
〇〇さんですか?私が対応したときはおだやかでしたよ?
「MSWが対応した際は頑固で、医師にはおだやかだった事実」があるのにも関わらず、脳内で都合よく処理して自分の「主観」で「〇〇さんは頑固だ」と決めつけてしまうことがあります。
何十年も生きてきたのに、たった数日で性格を断定することは不可能です。
このような「決めつけ思考」陥るクライエントは、クレームに発展する可能性があります。クレームになる前の段階で対処する方法は、下記の記事で解説しています。
本物のストレスには自分自身が「受容」しなければならない
ストレスの大半がMSWの勘違いによる「決めつけ」であると述べてきましたが、そうでないストレスもあります。
そのストレスに対しては「受容」することが重要です。
MSWに不足しているのは、自分自身を「受容」することです。クライエントに対しての面接で日々受容しているのにも関わらず、自分自身に行っていないのです。
私自身も「親しい友人の他界」や地震や大雨などの「災害」に対して非常に大きなストレスを抱えました。
ストレスの対処法は「ストレスを受容して期待せずに生きる」につきます。ビジネスマン、主婦、政治家等どのカテゴリーでも対処法は変わらないとこの本には書かれていました。
「受容」対してのアンテナが高いMSWであれば、実践できます。下記の記事でMSWの専門性を高める自己研鑽の方法について解説しています。
まとめ ストレスの大半は妄想と思い込みからくる「決めつけ」
ここまでに解説した「自責と他責」「心が読める」「勝手に性格診断」からわかる通り、MSWが抱えるストレスの大半は、妄想と思い込みからくる「決めつけ」が原因です。
MSWは心のどこかで「直感が優れている」「クライエントの気持ちがわかる」と思っているかもしれませんが、圧倒的に「勘違い」であることの方が多いです。
過去に当てた回数が何回かあったことで「クライエントの心が読める」と勘違いしているだけです。
決めつけていた大半は外していることを忘れないでください。MSWだとしてもクライエントの心は読めません。
MSWの仕事がきつい原因が判明した後は、具体的なきつい仕事内容を把握することも重要です。
以下の記事では、「MSWのきつい仕事10選」を解説しているので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
noteではブログでは発信できないソーシャルワーカーの実践について具体的かつ論理的に解説していますので「ソーシャルワーカーの業務を可視化したい」という方は必見になります。
このたび、Keiが実践するミクロレベルを中心としたソーシャルワークの失敗経験を共有して、各ソーシャルワーカーの実践に落とし込むメンバーシップ(初月無料で月額590円)を開設しました。
Keiがソーシャルワーク実践の過程で得た学びや、考え方、直面した問題などを「一番近くの席で見られるリアルタイム型のメイキング」みたいなものです。
認定医療ソーシャルワーカーであり、救急認定ソーシャルワーカーでもあるKeiが、メンバーシップの会員しか読めない記事を1ヶ月に3回以上投稿しており、読み物としてお楽しみいただけます。
本を活用して勉強することもオススメです。以下の本はソーシャルワークの基本から応用まで余すことなく解説しているので、「ソーシャルワークについてもう一段階学びたい!」いう方は、こちらもぜひご検討ください。
この記事の参考文献
超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド
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