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noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。
医療ソーシャルワーカー(以下MSW)にとって「面接」はソーシャルワーク実践で欠かせません。面接が上手くなりたいと悩んでいるMSWは非常に多いと思います。
私はMSW6年目で実習指導者養成認定研修を終了しており、高度急性期病院のMSWとして数々の修羅場ともいえる面接を行っています。
そこでこの記事では、ソーシャルワーク実践における「面接が上手くなる方法」を具体的に解説します。
この記事を読めば、今日からソーシャルワーク実践における面接のクオリティを一段階アップさせることができます。
「面接が上手い人」を真似するよりも「面接が下手な人」にならない技法を学ぶことが重要です。
面接が苦手なMSWの共通点【2つ】
先輩MSWの面接を参考にすることは間違いではありませんが、以下の落とし穴があります。
・面接をしているMSWの権威性(立場や肩書き)を利用している
・先輩MSWの個性・自流を活かした面接
・クライエントによって面接技法を変えていない
面接における「成功体験」は才能や個性、技術やタイミングなど環境に左右されることが多く、参考にならないことがあるため再現性が薄い一方で「失敗体験」は共通していることが多いです。
成功体験よりも、しくじり体験から学ぶことの方が多いです。
クライエントの意向は後回し
面接が苦手なMSWの特徴は「自分の都合で必死」です。
医師から退院していいっていわれたからすぐに退院させないと…
ベッド満床だから、今日の面接でクラエントを空いている施設に入所させたい…
面接において何かを説明するとき、重要なのが「クライエントのメリットを考える」です。
面接が上手い人は、常にクライエントのメリットファーストで考えています。
歩けるようになるために、リハビリ病院を紹介します。
自宅の玄関の段差があがれないのであれば、介護保険で手すりを借りましょう。
手すりを使用すれば「自宅の玄関の段差をあがれる」といったメリット。「リハビリ病院」へ入院すれば「歩けるようになる」といったメリット。
この記事を読んでいるみなさんも「面接が上手くなりたい」というメリットを求めて読んでいるはずです。
MSWがクレームを考察すると必ずクライエントから表出される表現があります。noteで詳細に解説しています。
ソーシャルワークで「結論ファースト」を用いるのは危険
“追い出し屋”になっている医療ソーシャルワーカーは、態度にも支援にも顕在化する。面接のような直接的な場面はもちろん、電話のような間接的な場面でも表出されている。
— Kei@社会福祉士 (@kei5850) November 14, 2023
病院や職員の雰囲気は一瞬でクライエントに察知されてしまうので要注意。察知されたら、払拭するための人件費は計り知れない。
上司への報告は「結論ファースト」が望ましいと数々の文献に書いてありますがクライエントとの面接において「結論ファースト」の面接は危険です。
早速本題なのですが、急性期病院には長く入院できないので退院しなければなりません。
ソーシャルワーク実践における面接は、すべてがポジティブな内容ではなく、時にはネガティブな内容をしっかりと伝えなければならないときがあります。
クライエントへの面接は「話の展開を事前に構築しておくこと」が重要です。
「退院」という結論が前面に押し出されることで、クライエントの不安が増大し「追い出し屋」認定されてしまいます。
下記の記事で「追い出し屋」ならないMSWの交渉術を解説していますので、ぜひ参考にしてください。
「話の通じない人」が一定数いることを受け入れる
ソーシャルワークの参考書がわかりにくい理由として、生活する環境や状況が「クライエントによって異なる」ため、具体的な実践方法が掲載されません。
面接が上手い人は、クライエントによって面接の立ち回りを変えています。現場で最も体力を使うことになるクライエントは「話が通じない人」です。
対応策は「明らめる」こと
人は自分の理解できる範囲内でしか理解しません。どうしても伝わらないということは起こり得ます。
時間と労力をかけて理解を得ようとする姿勢は非常に大切ですが、いくら時間や労力をかけても伝わらないクライエントは一定数存在します。
「あきらめる」ことも時には必要です。伝わらないという前提で、どうするかを決めましょう。
「あきらめる」には2つの意味があります。
①諦める
投げ出す、執着しないといった比較的ネガティブな意味で用いられることが多い。
②明らめる
仏教の世界で生まれた言葉で「物事を明らかにする」という意味がある。
MSWの「あきらめる」は②であることが望ましいです。
「話が通じない人」には、面接で説明したい内容を全て伝えることに執着せず「なぜ伝わらないのか」という理由を明らかにすることが重要です。
「話が通じない人」は一定数いると割り切りましょう。相談のプロである社会福祉士の「話が通じない人」はいないと考えるのは「まやかし」です。
MSWのコミュニケーションエラーついて下記の記事で詳細に解説しています。
100点のMSWである必要はない
個人的には「100点のMSW」が1人生成されるよりも「75点のMSW」を3人生成したほうが、クライエントや組織にとってメリットが多いと考えています。
クライエントは、「100点のMSW」と「75点のMSW」の区別ができません。MSWの専門性は、「一定の領域」を境に、クライエントには区別がつかない領域に達します。
MSWは「一生自己研鑽」であることは理解しています。しかし「一生研鑽」というゴールのないマラソンを走り続けた結果「バーンアウト」に陥ってしまうのは本末転倒です。
誰しもが100点のMSWを目指す必要はありません。75点のMSWがいたとしても、個別性が生まれて「75点のMSWに相談したい」というニーズは必ずあります。
長所を伸ばして「100点のMSW」を目指すよりも、短所を修正して「75点のMSW」を目指す方が心情的に楽です。
MSWのキャリアについて真剣に考えたいと思っている方は以下の記事を読んでください。
この記事のまとめ 面接が下手でも一生懸命やれば伝わる!
・面接が上手い人」になるよりも「面接が下手な人」にならない方が大事
・クライエントのメリットを考える
・「話が通じない人」を理解する
今回は「参考書に掲載されない面接技法」を解説しました。面接技法も大切ですが「ネゴシエーション」についてはさらに重要です。
以下の記事では「心理学を応用したネゴシエーション」について解説しているのでこちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
MSWが病院でソーシャルワークを実践するには、ソーシャルワークを実践するための「時間」を確保することが重要です。入院期間という限られた期間内で時間をを作るには個人や組織、地域との「調整技術」を磨く必要があります。
noteでMSWの実践で役立つ交渉術や立ち回り、考え方をより具体的に解説していますので、ソーシャルワークを展開するための面接や連絡調整における様々な技術を参考にしていただければ幸いです。
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このたび、Keiが実践するミクロレベルを中心としたソーシャルワークの失敗経験を共有して、各ソーシャルワーカーの実践に落とし込むメンバーシップ(初月無料で月額590円)を開設しました。
Keiがソーシャルワーク実践の過程で得た学びや、考え方、直面した問題などを「一番近くの席で見られるリアルタイム型のメイキング」みたいなものです。
認定医療ソーシャルワーカーであり、救急認定ソーシャルワーカーでもあるKeiが、メンバーシップの会員しか読めない記事を1ヶ月に3回以上投稿しており、読み物としてお楽しみいただけます。
本を活用して勉強することもオススメです。以下の本は一見ソーシャルワークとかけ離れたように感じますが、今回のブログの参考文献として利用しました。社会福祉士に必要な「ニーズの引き出し方」を学びたいう方は、こちらもぜひご検討ください。
医療ソーシャルワーカーであれば必ず持っておきたい1冊です。
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