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【MSW以外の社会福祉士向け】医療ソーシャルワーカーの現実を徹底解説

働き方

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noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。

医療分野の社会福祉士である医療ソーシャルワーカー(以下MSWと略す)が、他分野の社会福祉士に向けて様々な疑問を解決します。

・MSWはなんでいつも忙しそうなの?

・毎回MSWに退院を急かされるのはなぜ?

・MSWは病院内でどんな立ち位置なの?

MSWは、他分野の社会福祉士と比較して「忙しい」「ストレス多そう」といったイメージがあるようです。さらに予期せぬ予想によってMSWに対しての印象が悪くなってしまうことが少なくありません。

私は、社会福祉士として病院へ就職して6年目になります。約3年間二次救急の地域医療支援病院でMSWをした後に、現在は三次救急の地域医療支援病院でMSWをしています。

そこで、この記事ではMSW以外の社会福祉士のみなさんにMSWが「実際はどんな業務をしているのか」を解説し、イメージや誤解を払拭させたいと思います。

この記事を読めば「MSWの現場のリアル」と「MSWが地域に対してどのようなソーシャルワークを展開しているのか」が全てわかります。

Kei
Kei

様々な社会福祉士と交流するたびに「MSWって大変そうですよね」と声をかけられるのですが、大変以上の「魅力」があると思っています。最後まで読んで地域のMSWと上手に付き合ってください。

MSWに対するイメージの誤解

日々の臨床中の何気ない一コマで、MSWは地域の専門職から「忙しい」と思われている様子が伺えます。

行政職員
行政職員

 MSWさんは忙しいと思うのでまた掛け直します〜…

地域のケアマネ
地域のケアマネ

 病院で担当者会議をするのは、MSWさん忙しいから難しいですよね〜…

MSWが忙しいことは間違いありませんが、ケアマネ、地域包括支援センター、介護施設、行政etc…どの職場も忙しいはずです。

今回は、MSWに対しての、「何となく忙しいイメージ」を可視化したいと思います。

同じ社会福祉士であっても、分野別で何をされているか雰囲気くらいしか把握していないのですから、当然といえば当然ですよね。

MSWが最も時間を割いているのは、「面接」ではなく、「連絡調整」

医師や看護師のような病院の専門職は、忙しいイメージがありますよね?MSWも少なからずそのレッテルを貼られているように感じます。

MSWといえば「面接」をしているイメージが強いかもしれませんが、1日のトータル的な時間でみると、「連絡調整」がMSWの占める業務内容で最も多いことはまだまだ知られていない事実です。

MSWが病院内の他の専門職から、下記のようなイメージがあるようです。

「ずっと電話していて連絡調整している」「ひっきりなしに電話対応している」

週明けや週末などは「連絡調整」で多忙を極めているMSWへ連絡が繋がらなすぎて他部署から苦情が入ることがあるくらい「面接よりも連絡調整が多い」です。

MSWは、福祉の現場からみると関わりにくい存在!?

MSWは、他分野の社会福祉士と比較すると、格上のイメージがあるようです。

フラットな関係であると分かっていながらも、実際の福祉の現場は、「医師の権威性」や「治療をお願いしなければいけない立場」などが相まって「医療の方が格上」の構図が出来上がっているように思えます。

その医療現場で働いているMSWも、同じレッテルを貼られており、見方によっては偉そうな態度をしているように思われるかも知れませんが、腰の低いMSWの方が多いです。

Kei
Kei

偉そうにしているMSWは悪目立ちしているだけでほんの僅かです。優しいMSWが大半を占めています。

病院内でもMSWの業務内容は認知はされていない

医師や看護師へMSWが何をしている専門職か尋ねたときに、明確な回答が返ってくることはほぼありません。

病院内の他職種にとっては以下のイメージがあるようです。

他職種からみたMSWのイメージ
  • 退院調整を行う人
  • 介護保険の説明をする人
  • 身寄りのない人を支援する人etc…
Kei
Kei

いや、間違ってないけど上記以外のことも色々してますよ。

先述した通りですが、上記の支援を展開するにあたっても、「連絡調整」が欠かせません。「連絡調整」がかなり軽視されているのが非常に残念です。

上記にツイートは何気ないツイートでしたが、多くのMSWに共感してもらえて嬉しく思います。連絡調整でMSWは数々の「板挟み」あいながらもクライエントと地域のために奮闘しています。

≫ MSWの「板挟み」について

他分野の社会福祉士からみたMSWへの疑問

他分野の社会福祉士のみなさんは、MSWが普段どのような業務を行っているのか気になる方も多いと思いますので、この機会に解消していきましょう。

病院におけるMSWの役割の詳細は、下記で解説しています。

≫ MSWの役割と現実について

MSWはなぜ退院を急かすのか

他分野の社会福祉士の多くが抱えている疑問だと思われます。

ケアマネ
ケアマネ

病院に入院しても退院を急かされてしまう

MSW
MSW

この病院にはずっと入院できませんので

上記のような体験がある方も少なくないと存じます。

結論からいうと、全てのMSWが急かしているのではありません。

病院機能毎にMSWの役割が異なるため、役割に応じた支援をおこなっています。

「急かしているMSW」は、高度急性期、急性期といったような救急医療をメインで行う病院に多い傾向があります。

「救急病院なんだから手厚く診てほしい」という気持ちは痛いほどわかりますが、その部分が「病院側」と「患者側」のギャップです。

病院側からすると、ある程度治療の方針が定まって状態が安定すれば、高度急性期の病院にいる意味は少ないと言う考え方なのです。

「ここまでの治療をしておけば、別の病院でもフォローできる」という状態まで治療を行うのが高度急性期病院です。

高度急性期の病院にしかできない手術や手技を患者さんに提供しなければならないめ、入院ベッドを高度急性期治療の必要がない患者さんに提供できないといった仕組みがあります。

この病院機能毎の役割分担がまだまだ周知されていないため、高度急性期のMSWは「追い出し屋」の異名を持つことになってしまうのです。

高度急性期のMSWが言葉足らずの部分があるかもしれませんが、「ずっと入院できない」には根拠がしっかりとあることを理解していただければ幸いです。

しかし、患者さんや地域の方々に「急かしている」ように見えている時点で、MSWとしてまだまだであると自覚する瞬間でもあります。

医師をはじめてとした医療従事者は、十分な説明責任を果たす義務がありますので、「急かしている」ように汲み取られないような表現が必要でしょう。

≫ 病院の「追い出し屋」にならないための面接技法

なぜすぐに入院させてもらえないのか

「病院なんだから連れて行けば見てもらえるでしょ」という考え方は危険です。

ふらっと立ち寄って受診に応じてもらえる病院と応じてもらえない病院があります。

絶対に受診できないと言うわけではありませんが、「選定療養費」と呼ばれる病院機能の役割を分担するための料金を診療費とは別に請求される可能性があります。

最初から大きい病院へ受診するのではなく、かかりつけの医院やクリニックへ受診して、さらに専門的な治療が必要であれば、大きい病院へ受診するといった流れを、国は推進しています。

Kei
Kei

救急外来を受診した50%以上の患者さんが、入院せず帰宅しています。

入院適応のない患者さんを診察することにより、急性心筋梗塞や、脳血管疾患のような、時間を争う急病に適切な医療を提供できなくなる可能性があります。

病院を適正利用を図るために、選定療養費を徴収して受診するハードルを上げることで、まずは地域のかかりつけ医をもってもらう仕組みづくりをしています。

急病の境目を判断することは非常に難しいかもしれませんが、大きな病院に簡単に受診できないのは、本当に受診が必要なのか見極めるための仕組み作り(かかりつけ医へ受診)の推進があるからなのです。

入院用のベッドは無限に提供できないですし、各病院で使用できるベッドは医療法で定められており、患者が多いからベッドを増やすといったことは、法律上不可能です。

医療体制は「箱」「人」「物」で成り立っています。

患者を収容する病院(箱)、医療を提供する従事者(人)、治療をするための薬剤や医療機器(物)。

この3つが三位一体となって、はじめて医療が提供できます。

救急患者さんを受け入れるには、上記3つ全て多大なる労力が必要になるため、地域が思っているほど二つ返事で応需できないのが現状です。

社会資源の介入についてのタイミング

退院後に「手すり」が必要になった患者さんがいたとします。

MSW
MSW

 退院後に手すりの設置をお願いします。

病院のMSWからの介入依頼があり、実際に地域包括支援センターが訪問してみると、自立していて「手すり」の設置の必要はありませんでした。

MSWのアセスメント不足なのかと問われると、一概にいえません。MSWのアセスメント不足もあるかもしれませんが、あくまでも「入院中」は必要であったのかもしれません。

こんな事例も拝見されます。退院後も体動困難になることが予想された患者さんの連絡は一切なく、

地域包括職員
地域包括職員

なんでこの患者が地域にいることを連絡くれなかったの!?

となるような事例もあります。

患者さんの不利益になるのは、「手すりがないことによる生活の不便さ」であるため、このような一連の連絡調整に意味がなかったとは思えません。

ここまで、支援の意図を可視化しないと伝わらない部分も多々ありますが、時間との兼ね合いもあり省略されている傾向があります。

病院のMSW、地域のケアマネや行政の方々と密な連携を取るのは、非常に時間的にも、業務効率的にも難しい部分があることも理解できます。

しかし、この工程を踏まないと、誤解を招くような支援は数多く存在します。

私のブログをみててくださるみなさんは、「なぜその相談に至っているのか」という意図をしっかりと把握して、連携していただければ幸いです。

≫ ソーシャルワーク実践における時間の使い方

この記事のまとめ

今回押さえてほしいポイントは以下の通りです。

・MSWが最も時間を割いているのは、「面接」ではなく、「連絡調整」

・MSWが退院を急かすのは病院機能の問題である

・病院と地域での社会資源介入のギャップがある

MSW以外の社会福祉士をされているみなさんは、MSWが「病院」という狭い箱物のなかで仕事をしている都合上、中々MSWの業務が可視化されない部分もあり、ご迷惑をおかけしている部分も多々あると存じます。

今回のブログの内容は、MSWに対する疑問のほんの一部ではありますが、少しでもMSWに関しての疑問が解消できたら幸いです。

 

このたび、Keiが実践するミクロレベルを中心としたソーシャルワークの失敗経験を共有して、各ソーシャルワーカーの実践に落とし込むメンバーシップ(初月無料で月額590円)を開設しました。

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Keiがソーシャルワーク実践の過程で得た学びや、考え方、直面した問題などを一番近くの席で見られるリアルタイム型のメイキングみたいなものです。

認定医療ソーシャルワーカーであり、救急認定ソーシャルワーカーでもあるKeiが、メンバーシップの会員しか読めない記事を1ヶ月に3回以上投稿しており、読み物としてお楽しみいただけます。

ここまで読んでいただいたみなさんへ

私が新人MSWのときは、支援の「過程」よりも「結果」にこだわりました。正確にいえば、「結果」にこだわらざるを得なかったのです。

病院における医師をはじめとする専門職や経営陣は、支援の過程(ソーシャルワーク)を評価してくれないと感じたからです。「退院」という結果を出し続けないと、私は他の医療専門職から評価されませんでした。

病院の診療報酬に「ソーシャルワーク」に関する診療報酬はありますか?

入退院支援加算は、支援の過程を評価している加算ではありません。

医学とソーシャルワークをいかに融合させて行くかは、まだまだ未開拓である部分も多く「ソーシャルワーク」をどのように評価すればよいか私自身見出せずにいます。

可視化されない評価についての報酬は、どのように得ることが最善なのか。これからも「支援の過程(ソーシャルワーク)」の評価を模索していくために、下記の記事を読んで、再度ソーシャルワークについての理解を深めましょう。

初任者MSWに是非とも読んでほしい本が以下のものです。

この2つの本は、MSWとして臨床している際に、何度も読み直しています。

医療福祉総合ガイドブックは、MSWが日々の臨床で利用する様々な社会資源が解説されており、曖昧になった知識の復習に役立ちます。

マンガでわかる介護入門は、MSWが生涯説明する社会資源No. 1である介護保険制度についての本で、説明回数が多いが故に、怠惰になりがちな心をリセットできる本です。

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