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AIが支援計画を考えて、ソーシャルワーカーが現場で確かめる時代へ。

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noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。

みなさんこんにちはKeiです。

救命救急センターが設置されている病院で医療ソーシャルワーカーとして働いている社会福祉士9年目です。
社会福祉士取得後、最速で認定医療ソーシャルワーカーと救急認定ソーシャルワーカーを取得しました。

noteとX (フォロワー2,400人以上)を500日以上毎日更新しています。

ソーシャルワーク関連のブログも発信中です。

本日は、『AIが支援計画を考えて、ソーシャルワーカーが現場で確かめる時代へ。』というテーマを深掘りします。

AIが人間に頼んでくること

AIを使い込んでいると、AIは意外と人間に仕事を頼んでくることに気がつきます。

  • 「この内容が本当に正しいか、確認してください。」
  • 「この案内文、読んで違和感ないか見直してください。」
  • 「これを送る前に、最終チェックをお願いします。」

そうやって、人間にしかできない仕事を、AIは頼んできます。

任せられる範囲が広がるほど、逆に人間にしか渡せない一点が、くっきり見えてくるのです。

ソーシャルワークも、例外ではありません。

AIは、過去の記録から支援計画の叩き台を、あっという間に作成します。算定要件も、瞬時に整理してくれるのです。

一方で……

  • 「ご家族のリアクションを確認してください」
  • 「この制度の利用を家族が希望されるか確認してください」
  • 「家族はこの方針で良いと言っているのですよね?」

上記のように、AIは確認を求めてきます。

これは、命令ではなく、AIなりの、精一杯のお願いです。

考えてみれば、当たり前のことなのですが、AIには身体がないので、クライエントと面接し、現場の温度感を確かめることができません。

だからこそ、AIは「ここから先の確認はあなたにお願いします。」と人間に頼ってきます。

そう言われているのだと思えば、依頼される仕事ほど価値がある証拠です。

レシピを考えるのはAI、味を確かめるのは人間

私の自宅の近所に、人気のパン屋さんがあります。

店主は、元々営業職をされていた方で、パン職人ではありません。

レシピはChatGPTに相談しながら作成し、AIが世界中のパンの知識から小麦などの配合を考え、店主が実際に焼いて食べてみる、という往復を何度も繰り返したそうです。

AIには、味覚がありません。

どれだけ知識があっても、舌は持っていないので、「考えるのはAI、確かめるのは人間」という役割分担が、自然に生まれたそうです。

これは、ソーシャルワークの現場と同じ構造です。

AIは、情報から仮説を立てられます。

過去の支援記録を横断し、似たケースのパターンを見つけることもできます。

しかし、クライエントの「こうしたい」「ああしたい」の温度は、確かめられません。

その言葉の奥にある心理まで、AIは踏み込めないのです。

意思決定支援は、AIにできない

意思決定支援は、AIには絶対にできない仕事です。

AIは、記録から「本人はこう言っていた」という情報は扱えますが、それは所詮過去の情報です。

カルテは、誰かの解釈を通過した、編集済みの情報です。一方で、意思決定支援は、「今この瞬間に、クライエントの目の前で行うもの」です。

意思決定支援は、言葉のみならず、非言語コミュニケーションも重要になります。

  • 沈黙の長さ
  • 視線が逸れる瞬間
  • 「大丈夫です」と言うときの、声のトーン

こうした非言語コミュニケーションは、AIに届きません。

届いたとしても、それをどう解釈するかは、その場にいたソーシャルワーカーにしか判断できません。

しかも、意思決定支援は一回で終わりません。

今日の“良い”と、明日の“良い”の意味が同じとは限らないからです。

体調、家族との会話、昨夜眠れたかどうかなど……

その揺らぎごと拾いにいくのが、意思決定支援という仕事です。

AIが「確認してください」と頼んでくるのは、AIが「ここから先は自分には手が届かない」と、分かっているからです。

これは、脅威ではありません。

ソーシャルワーカーとしての輪郭が、はっきりする瞬間です。

意思決定支援とは、正解を当てる答え合わせではなく、揺れている本人と、その場で一緒に揺れるプロセスです。

AIは、常に安定した出力を返すだけで、揺れることができません。

本人の揺れに合わせて自分も揺れ、それを受け止められるところがむしろ、人間の強みになります。

指示待ちの天才を、動かすのは人間

AIは、今や天才が常に隣にいるような存在ですが、その天才は、究極の指示待ちです。

「こうしたい」「ああしたい」という最初の意思だけは、人間が持たなければ始まりません。

「意思決定支援をしましょう」とは、AIは自分から言い出さないのです。

クライエントの「大丈夫」の奥にある本当の意思を確かめるのも、AIに「こうしたい」「ああしたい」と最初の一歩を渡すのも、どちらも「気づいて、動き出す」という同じ姿勢です。

天才が隣にいても、その天才を起動させる最初のスイッチは、人間にしかありません。

近所のパン屋さんも、最初に「こういう味にしたい」という意思を持っていたのでAIは伴走できたのです。

意思がなければ、どれだけ知識があっても、天才は永遠に待機したままです。

役割分担は、対立ではなく協働から生まれる

AIと人間の関係を、対立で語る人が少なくありません。

「いずれ仕事を奪われる」と聞くたびに、「そうじゃないんだよな〜」と思ってしまいます。

近所のパン屋さんの店主は、AIに仕事を奪われませんでした。

AIと組んで、レシピの精度を上げたのです。

ソーシャルワーカーも、同じです。

AIが記録を整理してくれる分、クライエントと向き合う時間が増えます。制度の該当条件を拾ってくれる分、対話に集中できます。

これは、代替ではなく分業です。

「AIが支援計画を考えて、ソーシャルワーカーが現場で確かめる。」

この往復こそが、ソーシャルワークの精度を上げていく新しい選択肢です。

往復を止めた瞬間、両方とも劣化します。

AIだけに任せれば味覚のないレシピになり、人間だけでやれば経験と勘だけに頼ることになります。

どちらも、単独では完成しません。

AIに仕事を奪われるのではないかと、心配して立ち止まるよりも、AIと一緒に仕事をしてみることです。

その中で、「AIがソーシャルワーカーに頼んでくることは何か」を観察することで、現代社会におけるソーシャルワーカーの役割が見えてきます。

AIが「確認してください」と頼んでくる限り、そこに、人間の役割があります。

AIと働くというのは、天才を使いこなす技術ではなく、自分の意思を、明確に持ち続ける技術なのかもしれません。

意思がなければ、どれだけ優秀なAIと組んでも、何も始まりませんが、意思があれば、AIは最高の相棒になります。

私は今日も、書類の作成はAIに任せながら、クライエントの表情を確かめる仕事は、自分の目でやろうと思います。

「こうしたい」「ああしたい」という最初の一言だけは、これからも自分自身で言い続けていきます。

AIがどれだけ賢くなっても、この一言だけは代わってくれません。

だとすれば、鍛えるべきはAIを使いこなすスキルより先に、「こうしたい」「ああしたい」と言い切る意思そのものかもしれません。

その意思さえ持ち続けられれば、AIは何度でも力を貸してくれます。


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ではまた。

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Kei

現役社会福祉士8年目の30歳。
救命救急センターの医療ソーシャルワーカー。
 
≪取り組み実績≫
・認定医療ソーシャルワーカー
・救急認定ソーシャルワーカー
・情報誌執筆(約6,000文字)
・3,000人規模の学会発表(口頭)
・社会福祉士実習指導者
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