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noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。
・社会福祉士の需要はどうなる?
・社会福祉士の将来性が不安
・社会福祉士はAIに仕事を奪われないって本当?
「社会福祉士の仕事は将来的にどうなるのか」と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。世間を賑わせている人工知能(以下AI)によって社会福祉士の働き方は大きく変化します。
私は社会福祉士として5年以上就労しており、社会福祉士のキャリアプランをメインとしたスーパービジョンを複数回経験してきました。
当記事では、社会福祉士の働き方はAIによってどのような影響を及ぼすのかを詳細に解説します。この記事を読めば、社会福祉士の働き方がAIでどのように変化するか把握できます。
社会福祉士はAIによる恩恵を受けて働きやすくなり、一層ソーシャルワーク実践に集中できる環境が整っていきます。
AIにより、日頃業務をしている中の「めんどくさい」部分が解消されます。
社会福祉士はAI時代でも需要がある!
マイナビのサイトでAI時代でも需要がある資格として社会福祉士が挙げられていました。
社会福祉士は、AIによってなくなりにくいとされている医療・福祉のカテゴリーに分類されています。
大企業のお墨付きをいただいた理由として、交渉や連携等のコミュニケーション能力が求められて日本の少子高齢化社会に見合った資格であったことが考えられます。
現代社会では様々な社会保障問題が顕在化されており、国が中心となり多くの政策で対策を試みています。
- 超高齢化
- 外国人滞在者の増加
- 虐待
- 格差社会
- 孤立化による身元保証
- 貧困の連鎖
- ヤングケアラー
- 新型コロナウイルスによる社会への影響
- 人口減少社会
社会変革に柔軟に対応できる専門的な知識を身につけている社会福祉士は、AIに代わる存在になり得ないといえます。
社会福祉士の仕事はAIで代替できない
社会福祉士の仕事がAIに奪われないといえる理由は、一般事務職や、お店のレジ打ち等の単純作業と異なり、クライエントとのコミュニケーションや臨機応変な対応が求められるためです。
社会福祉士であり、医療ソーシャルワーカー(以下MSW)でもある私の目線で具体的に解説します。
結論からいうと、社会福祉士はAIと明確な差別化が図れるため将来性が大いに期待できます。
ソーシャルワークには“個別化”が求められる
クライエントの尊厳を保持するために遵守すべき原則とされるバイステックの7原則の中で「個別化」が挙げられています。
援助者は、利用者の問題の状況に応じて、個別的に対応する。
ケースワークの原則[新訳改訂版]:援助関係を形成する技法-F.P.バイステック
AIは、様々な情報を比較して最適な回答を提示するため、個別的な対応ができません。
クライエントを他のクライエントと比べることなく支援することは、ソーシャルワークを得意とする社会福祉士の真骨頂です。
例として、生活保護の審査は身体、収入等で個別的に判断されるため、AIに代替されることはありません。
人間同士の“コミュニケーション”が必須
社会福祉士は対人援助職であるため、人間同士のコミュニケーションが欠かせません。
社会福祉士をはじめとした福祉の仕事はクライエントへの細かな配慮や思いやりが必要になります。
人間のコンディションはいつも同じわけではありません。その日によってお風呂に入りたい時間帯、就寝する時間帯等は変化するため、決まったことを忠実におこなうAIでは対応が難しいです。
悩んでいるクライエントへ“アウトリーチ”できない
AIは、求められたことに対して忠実に仕事を遂行する且つ処理能力も高いことが特徴です。
介護保険制度や生活保護制度の説明を求められれば、余すところなく説明してもらえるでしょう。
しかし、AIが行うことが極めて難しいのがアウトリーチです。
アウトリーチとは、生活上の課題を抱えながらも自ら援助にアクセスできない個人や 家族に対し、援助者が人々(利用者)の生活空間に出向き、ニーズの発掘、情報やサービスの提供を行うことです。
AIは、問題自体に関する自覚や明確な認識がないか、相談すること自体に、抵抗感、戸惑い、不信感などがあって、自発的に専門機関・施設などに出向くことができないクライエント(インボランタリー・クライエント)への対応ができません。
様々な形で、サービスと情報を届けることは、AIには難しいため、ソーシャルワークは明確に差別化できます。
アウトリーチを通じて得られた情報やフィードバックは、ソーシャルアクションの計画や実行に役立ちます。共に包括的で公正な社会を構築するための手段として協力し合います。
社会福祉士の仕事でAIに置き換わる部分はメリットしかない
社会福祉士の仕事はAIが奪うことが難しいと解説してきましたが、ある一定の仕事はAIに委託することが可能です。
先述しましたが、AIは決められたとおりの単純作業の処理能力が高いため、その恩恵を受けることになります。
社会福祉士は「AIに奪われない仕事」といわれているが、半分正解で半分不正解。
— Kei@社会福祉士 (@kei5850) August 26, 2023
コミュニケーションが求められる個別性の部分は奪われないが、制度説明や連絡調整等の事務処理は奪われる。
特に、医療福祉現場における連絡調整のメインツールである電話とFAXが AIに置き換わるのは時間の問題。
電話、FAX等の連絡調整の時間が減少する
社会福祉士に必要不可欠な連絡調整に費やす時間は大きく減らすことができます。
MSWである私は連絡調整で下記のことに悩まされてきました。
- FAXを中心とした紙ベースのやりとり
- 他のMSWへ電話連絡するも対応中で折り返しになる
- 電話連絡によるコミュニケーションエラー
- 複数の機関へ相談する際の反復業務
- 他のMSWがどんな調整をしているかわからない
AI (ICT)の活用によって連絡調整に要する時間が短縮され、社会福祉士が行うべきソーシャルワークの時間を確保することにつながります。
具体的に改善されるのは下記の通りです。
- 「電話がつながらなくて仕事が進まない」が減少する
- FAXを送信する回数と誤送信が減少する
- チャット機能等で文章に残せるため電話での口頭エラーが減少する
- 基本的同じ内容を反復する業務が減るため費用対効果が改善される
- 同部署のMSWの調整業務が可視化されるため業務を標準化できる
第71回公益社団法人日本医療ソーシャルワーカー協会全国大会でもクラウドシステムを実際に導入した病院の発表がされていました。
医療福祉制度の説明が詳細に行える
医療福祉制度は、常にPDCAサイクルを繰り返しており、社会福祉士も国の動向に応じて知識をアップデートする必要があります。
AIの導入により、常に最新の情報が共有できるようになるため、クライエントへ詳細な情報提供が可能になります。
活用できる医療福祉制度内容をAIが詳細に把握できるため、社会福祉士の知識不足でクライエントが不利益になることを防ぐことができます。
医療福祉制度にありがちな、ニッチな情報も見逃さなくなります。
地域の社会資源を正確に把握できる
各地域で行われているファーマルサービス・インフォーマルサービスの把握は、おおむね自身が就労している都道府県内が限界です。
自治体によってサービス内容も異なれば、利用の仕方も異なります。
これらを一発回答できるようになるAIは、社会福祉士が実践するソーシャルワークを後押しします。
クライエントへその人らしい生き方をしていただくために情報提供をするのに、情報を調べる段階に時間を費やすのは得策ではありません。
この記事のまとめ
今回は、「AIによって社会福祉士の働き方がそのように変化するか」について解説しました。
AIによって社会福祉士の働き方は改善されます。ソーシャルワーク実践を行う環境が整い、一層クライエントファーストの支援を追求する時間や余裕が生まれます。
ここまで読んでいただいたみなさんなら承知されていると思いますが、AIに社会福祉士の仕事が奪われないのではなく、基盤の学問であるソーシャルワークをAIが学ぶことができないため、奪えないのです。
AIにできないソーシャルワークを実践するための概念として、ソーシャルインクルージョンは確実に理解しておく必要があります。以下の記事で解説しているのでこちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
このたび、Keiが実践するミクロレベルを中心としたソーシャルワークの失敗経験を共有して、各ソーシャルワーカーの実践に落とし込むメンバーシップ(初月無料で月額590円)を開設しました。
Keiがソーシャルワーク実践の過程で得た学びや、考え方、直面した問題などを「一番近くの席で見られるリアルタイム型のメイキング」みたいなものです。
認定医療ソーシャルワーカーであり、救急認定ソーシャルワーカーでもあるKeiが、メンバーシップの会員しか読めない記事を1ヶ月に3回以上投稿しており、読み物としてお楽しみいただけます。
本で勉強するのもオススメです。以下の本は、MSWとして臨床している際に、何度も読み直しています。医療社会福祉制度がわかりやすく解説されているため、是非ご検討ください。
医療福祉総合ガイドブックは、MSWが日々の臨床で利用する様々な社会資源が解説されており、曖昧になった知識の復習に役立ちます。
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