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noteメンバーシップを2024年7月から始めました。Keiが日常的に実践するミクロレベルのソーシャルワークで得た失敗経験を共有し、同じような失敗を予防していく狙いがあります。Keiは学者ではないので体験談が中心ですが、必ずみなさんの実践に還元できます。
・名称独占って何?
・名称独占と業務独占の違いは?
・名称独占資格の社会福祉士は価値があるの?
社会福祉士の国家資格が名称独占資格であるため「社会福祉士が普及しない」と考えている人は非常に多いです。
私は5年以上医療分野の社会福祉士として就労してきた中で、名称独占資格のメリット、デメリットについてたくさん経験してきました。
当記事では、仕事をする上で重要な「社会福祉士の資格の価値」について深掘りします。この記事を読めば「名称独占資格である社会福祉士に将来性があるか」がわかります。
社会福祉士は、名称独占資格であっても価値は上がり続けます。社会福祉士になる過程で身につけた知識は、日本の未来においても重要な役割を果たします。
社会福祉士は“名称独占資格”
社会福祉士は相談、助言、指導、連絡調整その他の援助の専門職であり、ソーシャルワーカーの国家資格です。相談援助を行う際は、クライエントファーストの援助をすることが求められています。
“業務独占資格”ではなく、“名称独占資格”です。
“名称独占資格”は資格を所持しないと名乗れない
社会福祉士をはじめとした保育士、介護福祉士等多くの福祉専門職はこの“名称独占資格”です。
つまり、社会福祉士を“名乗らなければ”社会福祉士と同等の業務をおこなって良いとされています。
同様に、保育士を“名乗らなければ”無資格で保育業務が可能ですし、介護福祉士を“名乗らなければ”資格をもっていなくても介護に関われます。
“名称独占資格”と“業務独占資格”の違い
一方で、医師や看護師等は“業務独占資格”です。
つまり、医師の資格を持たない者は業務すら行えません。当たり前ですが、一般の人に手術を任せることは困難です。
“名称独占資格”と“業務独占資格”の違いは「無資格でその業務を行なって罰せられるか」「無資格でその資格名称を名乗って罰せられるか」です。
業務独占資格は名称独占資格も兼ねているため、無資格で業務を行うだけでなく、その資格を名乗って業務を行うと罰則も重くなります。
専門的業務である識別として“名称独占資格”は必要
資格がなくても社会福祉士と同等の業務ができるとなると、一見資格自体の存在価値を疑いますが、サービス提供の質を担保するために資格は必要です。
同じ業務を有資格者と無資格者が行う際、一般の方々の判断材料として有効であり、相手から信用を置かれるのは有資格者です。
“名称独占資格”の多くは「やろうと思えばその瞬間から誰でもできる業務」であるからこそ、明確に差別化するために資格が存在しています。
“名称独占資格”のメリットは3つの「感」
社会福祉士のような“名称独占資格”のメリットは3つ「感」で表現することができます。
・安心感
・信頼感
・優越感
国家資格持ちであることの「安心感」
国家資格は、文字通り国が認めている資格であるため社会的な信用を得やすいです。
国の法律に基づいていることから権威性も十分です。さらに就職活動や転職活動に対し客観的に自分の能力を証明できるため自分自身の「安心感」に繋がります。
国家資格所持者は一つのステータスとして考えることができます。
ステータスは業務の自身に直結するため、国家資格を取得する前と取得した後では、業務の取り組みに対する責任が生まれます。
クライエントにサービスを安心して利用してもらうためにも資格は重要です。
病院では専門性としての役割を持たせるため、病院職員として採用される医療ソーシャルワーカーは診療報酬の観点からも社会福祉士の国家資格がないと採用されにくいです。
≫ 病院における医療ソーシャルワーカー(MSW)の役割と現実
一定の知識が担保できる「信頼感」
国家資格は、知識や技術が一定水準以上に達していることを国によって認定・保障されている証明となります。
その知識や技術を知りたい状況で、発信している人が国家資格所持者であったときの「信頼感」は揺るぎません。
“名称独占資格”特有の例を紹介します。
朝出勤する前に外を見てみると、空が曇っていて外出する際の天気が心配になりました。
天気予報を確認しようとして朝の情報番組を確認してみると、お天気キャスターを担当していたのは最近売り出し中の女優さんでした。
エンタメとしては最高ですが、その時の私が求めていたのはエンタメ感より信頼感でした。
“名称独占資格”である気象予報士の国家資格所持者が、天気を解説してくれた方が信頼できると思えた体験でした。
気象予報士である「信頼感」があれば、天気予報をより真剣に確認していたでしょう。
社会福祉士を所持している医療ソーシャルワーカーであれば、ある程度の知識は担保されている保証となり、地域の社会福祉士からの相談も増えます。
≫ MSW以外の社会福祉士向けて医療ソーシャルワーカーの現実を解説
資格取得しないと名乗れない「優越感」
必死に勉強して取得した国家資格を活かして業務をすることで「優越感」に浸ることができます。
社会福祉士の取得は、国家試験を受験するための受験資格の取得が容易ではないため、学校の授業や実習等苦しい経験を多くします。
絶対に国家試験に合格して「社会福祉士を名乗りたい」と思いながら試験勉強をしていたのが最近のように感じます。
実際に国家資格を取得して、社会福祉士を名乗れた時の優越感は今も忘れることができません。
国家試験の時ほど、必死に勉強した記憶は他にありません
社会福祉士の価値は上がり続ける
社会福祉士の価値は現在上がっている最中ですので、現場で働いている社会福祉士のみなさんは実感がないかもしれません。
10年以上かけて世間のニーズが多様化するにつれて、社会福祉士の価値は上がります。
具体的な理由としては3つあります。
・日本の少子高齢化社会にマッチする
・SDGsの考え方とソーシャルワークの考え方が近しい
・人工知能(AI)に仕事内容が奪われない
少子高齢化社会にマッチする
厚生労働省が公開している将来的な人口推移です。
少子高齢化社会は、日本だけでなくヨーロッパ各国や韓国、シンガポール等も深刻な社会問題となっています。
社会福祉士は高齢化問題、少子化問題の双方にアプローチできる知識があるため、少子高齢化社会の進行に伴って需要が上がっていきます。
ソーシャルワークはSDGSと共存する
SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月に国連で採択された2030年までの国際開発目標です。
17の目標と169のターゲット達成により、「誰一人取り残さない」社会の実現に向け、途上国及び先進国で取り組むものです。
日本では、経済産業省が中心となって推進されています。この17の目標に目を通してみると、社会福祉士も貢献できそうな目標が多数あることがわかります。
社会福祉士として地域でソーシャルインクルージョンを展開することで、社会福祉士がSDGsの担い手であることのアピールになります。
≫ ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)とSDGsの関係性を解説
人工知能(AI)に仕事内容が奪われない
大手企業であるマイナビのサイトで、AI時代でも需要がある資格として社会福祉士が取り上げられています。
社会福祉士の仕事がAIに奪われない理由は単純明快で、AIにソーシャルワークができないためです。
AIにできないソーシャルワークの一例として以下のものがあります。
・個別化
・コミュニケーション
・アウトリーチ
これまで時間を割くことが多かった反復業務の連絡調整や、事務作業等がAIの恩恵を受けて改善され、ソーシャルワークに時間を費やすことが可能となります。
社会福祉士の「価値」を上げるにはブランディングが重要
社会福祉士の価値は上がり続けると先述しましたが、伸び代は現役社会福祉士にかかっています。
具体的な働きかけについて3つ解説します。
・社会福祉士“必置”の機関を増やす
・社会福祉士を“診療報酬”に明記させる
・“ソーシャルワーク”を普及させる
社会福祉士“必置”の機関を増やす
地域包括支援センターのような社会福祉士必置の機関を増やすことができれば、必然的に価値が高まります。
例えば、スクールソーシャルワーカーを雇用する際、社会福祉士等の有資格者に限定すれば社会福祉士の価値を上昇させることができます。
平成30年2月の社会保障審議会でスクールソーシャルワーカーの50%以上が社会福祉士等の資格を取得しているという統計を厚生労働省が発表しています。
理想を追求すればキリがないですが、児童相談所や社会福祉協議会も本来であれば社会福祉士の必置が望ましいです。しかし、人員や人件費等の総合的な都合で実現には至っていません。
これらの話の実際は、総合的な議論が必要になることは言うまでもありません。
社会福祉士を“診療報酬”に明記させる
社会福祉士は、診療報酬に明記される毎に医療機関での立場を確立してきました。
「診療報酬=医療機関の需要」であることは既に過去の動向で実証されていますので、今後も医療における様々状況に社会福祉士の需要をアピールしていく必要があります。
国が「地域完結型」の医療を推進しているため、在宅医療における診療報酬が拡充されています。国のニーズに併せて、在宅医療における社会福祉士の重要性について交渉をしていかなければなりません。
実際に在宅医療で活躍されている社会福祉士は少なくないため、日頃のソーシャルワークが診療報酬によって遅れてでも評価されることが期待されます。
“ソーシャルワーク”を普及させる
ソーシャルワークの担い手が社会福祉士である以上、ソーシャルワークを世間に普及させることは喫緊の課題です。
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。
社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義
ソーシャルワークが普及することで、先述したSDGsの普及にも繋がります。SDGsを普及させる担い手は、社会福祉士こそがふさわしいと、ここに宣言します。
この記事のまとめ
“名称独占資格”である社会福祉士の価値は上がります。
私自身が社会福祉士を継続していくためには、社会福祉士の地位向上が不可欠だと思っている。
— Kei@社会福祉士 (@kei5850) June 20, 2023
しかし、全ての社会福祉士がキャリアアップを望んでいないことも理解できる。
「地位向上→お給料上がる」が処遇改善の近道であり、結果的に全ての社会福祉士が恩恵を受けることができるのが理想か。
社会福祉士の収入は、社会福祉士の価値が上がった段階で遅れて増えてくると予想できます。看護師等を対象とした看護職員等処遇改善事業や介護士等を対象としたの介護職員処遇改善加算が確固たる例です。
以下の記事では社会福祉士の将来性と年収を分野別に考察していますのでこちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
noteでは、医療ソーシャルワーカー(以下MSW)に関する具体的な「調整技術」について詳細に解説しています。
MSWが病院でソーシャルワークを実践するには、ソーシャルワークを実践するための「時間」を確保することが重要です。入院期間という限られた期間内で時間をを作るには個人や組織、地域との「調整技術」を磨く必要があります。
このたび、Keiが実践するミクロレベルを中心としたソーシャルワークの失敗経験を共有して、各ソーシャルワーカーの実践に落とし込むメンバーシップ(初月無料で月額590円)を開設しました。
Keiがソーシャルワーク実践の過程で得た学びや、考え方、直面した問題などを「一番近くの席で見られるリアルタイム型のメイキング」みたいなものです。
認定医療ソーシャルワーカーであり、救急認定ソーシャルワーカーでもあるKeiが、メンバーシップの会員しか読めない記事を1ヶ月に3回以上投稿しており、読み物としてお楽しみいただけます。
医療福祉総合ガイドブックは、MSWが日々の臨床で利用する様々な社会資源が解説されており、曖昧になった知識の復習に役立ちます。
マンガでわかる介護入門は、MSWが生涯説明する社会資源No. 1である介護保険制度についての本で、説明回数が多いが故に、怠惰になりがちな心をリセットできる本です。
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